2022年、買うべき物件・買わないほうがいい物件
首都圏のマンション価格が上昇を続けており、不動産経済研究所の調べによれば、2021年10月の首都圏マンションの平均販売価格はバブル期の1990年の同月を上回り10月としては過去最高となりました。(『https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC067D90W2A100C2000000/
https://www.rakumachi.jp/news/column/286122
』より引用)
2020年から続くコロナ禍において、テレワークの普及等により都心部を中心に賃貸住宅へのニーズが多様化するなど、賃貸マーケットに変化が起こりつつあります。
このような変化の激しいマーケット環境において、不動産投資家としての投資判断はどのような基準で行えばいいのでしょうか?
本記事では、2022年に買うべき物件・買わないほうがいい物件の特徴を、価格・賃貸需要・間取りという3つの観点から解説します。
■2022年、買うべき物件の特徴3つ
2022年に買うべきであるといえる物件の特徴は以下の3つです。
・価格上昇が顕著でない物件
・人口が流入しているエリアの物件
・書斎があるなど、間取りにゆとりのある物件
● 価格上昇が顕著でない物件
首都圏のマンション価格は上昇を続けていますが、必ずしも全都県の全市区町村で価格が上昇しているわけではありません。一部のエリアが大きく価格を伸ばしている反面、大きな価格上昇が見られていないエリアも存在します。
「今まさに価格が上がっているエリア」よりは「これから上がる可能性が高いエリア」の物件を購入するのが得策です。マーケットに精通したプロに相談して、エリアごとの価格上昇の状況に関する情報を収集しておくといいでしょう。
● 人口が流入しているエリアの物件
人口が流入しているエリアは、中長期的に不動産の賃貸需要(入居者からの需要)および購買需要(購入者からの重要)が伸びやすいといえます。人口が流入しているということは、そのエリアに住みたい・そのエリアの不動産を買いたいというニーズが増える可能性が見込まれるためです。
2021年に人口増加数が全国1位になった千葉県流山市 では、コロナ禍における人口流入によって、その前後(2019年〜2020年)でマンションの㎡単価が以下のように大きく上昇したエリアが見られました。(『https://digital.reserva.be/regional-revitalization-of-nagareyama-city/#:~:text=%E3%81%9D%E3%82%93%E3%81%AA%E4%B8%AD%E3%80%81%E5%8D%83%E8%91%89%E7%9C%8C%E6%B5%81%E5%B1%B1,%E4%BA%BA%E3%82%92%E7%AA%81%E7%A0%B4%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82』より引用)
・「南流山」駅:1.26倍
・「流山セントラルパーク」駅:1.89倍
・「流山おおたかの森」駅:1.16倍
(『http://www.reins.or.jp/pdf/trend/nmw/NMW_2019/NMW_2019_1_29.pdf
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/nmw/NMW_2020/NMW_2020_1_29.pdf
』より引用)
わずか一年で2倍近くに㎡単価が上昇したエリアもあり、人口流入による住宅需要の増加がその一因となっていることが考えられます。
賃貸需要および購買需要が伸びることで、家賃や不動産価格の上昇が見込めたり、空室リスクや売れ残りリスクを抑えられたりする可能性が高まるため、より安定的な不動産投資ができるようになるでしょう。
● 書斎があるなど、間取りにゆとりのある物件
在宅勤務の普及によって、生活空間とは別に仕事をするための書斎のニーズが高まっています。 在宅勤務に関するアンケートの中では、「仕事のオン・オフが切り替えづらい」「仕事に適したデスクやチェアがない」「自室や書斎がない」といった声も上がっているのも事実です。
(『https://news.yahoo.co.jp/polls/life/41815/result https://soken.xymax.co.jp/hatarakikataoffice/data/column082.html』より引用)
在宅勤務時のワークスペースを確保するために、1R・1Kよりも1LDK、1LDKよりも2LDKといった、間取りにゆとりのある物件がアフターコロナにおいて求められる物件になる可能性は大いにあるでしょう。
特に単身世帯よりも夫婦世帯やファミリー世帯の方が、生活空間と書斎を分けたいと思う傾向が強いと考えられます。メインターゲットがどのような世帯かによって、購入すべき間取りも変わってくるでしょう。
ハイグレードな分譲マンションの場合、共用施設としてライブラリーやラウンジ等のワークスペースにもなる施設が整備されている物件もあります。そのような物件の場合は、必ずしも住戸内に書斎となる部屋がなくても入居者からのニーズは十分に見込めそうです。
■2022年、買わないほうがいい物件の特徴3つ
2022年に買うべきではないといえる物件の特徴は以下の3つです。
・価格が高止まりしているエリアの物件
・テレワークによる賃貸需要の鈍化が見込まれる物件
・狭小すぎる物件
● 価格が高止まりしているエリアの物件
価格が高止まりしている物件は、割高な価格で購入する結果になる可能性があります。そのため、賃貸運用の際に「利回りが低く、キャッシュフローが出ない」、売却を考えた際に「期待していてほど利益が出ない」といった状況になってしまうリスクがあるでしょう。
売却時の利益を狙うためにも、高い利回りで運用するためにも、割高なエリアの物件を買わないようにするという視点が重要です。
価格が高止まりしているかを判断するにあたっては、エリア単位(区や駅)または物件単位で以下の点を確認するといいでしょう。
・不動産の坪単価の推移
・家賃利回りの推移
一般の個人投資家が上記の情報を取得するのは難しい場合もあるため、不動産業者等のプロに相談して情報を提供してもらうのが得策といえます。
● テレワークによる賃貸需要の鈍化が見込まれる物件
テレワークの普及によって、企業によってはオフィスの縮小を進めていることがあります。このようなマーケット環境においては、以下のような物件は賃貸需要が鈍化していく可能性があるでしょう。
・オフィス街にある物件
・法人の拠点(支店、工場等)からの賃貸需要に依存しているエリアにある物件
オフィスや工場等の勤務地に近いという理由でその物件を借りていた入居者にとって、テレワークや在宅勤務の普及によりそのエリアに居住する必要性が低くなるためです。
都心のオフィス街は家賃が高い、スーパーや大型商業施設等の生活インフラが少ないといった理由から通勤の利便性よりも生活環境の良さや経済面を重視した部屋選びをするようになることも想定されます。
特定の層からの賃貸需要に依存した物件に投資するのは空室リスクを高める要因になり得るといえるでしょう。
● 狭小すぎる物件
狭小すぎる物件とは、面積が10㎡以下など極端に狭い物件のことです。狭小物件は都心部にありながらも家賃が安いといったメリットがあり、家で過ごす時間が少ない多忙なサラリーマンなどからの賃貸需要は多いでしょう。
しかし、コロナ禍で新しい働き方が定着すると、狭小物件は都心部あっても入居者が見つけにくくなるかもしれません。在宅勤務や外出自粛等の理由から自宅で過ごす時間が増えるため、自宅の住環境を重視するというトレンドが加速することが想定されるためです。
忙しいサラリーマンにとって、自宅は「寝に帰る場所」から「生活・仕事をする場所」に変わる可能性があるため、ワークスペースを確保しにくい狭小すぎる物件には投資を控えるのが賢明かもしれません。
■まとめ
コロナ禍において不動産投資のマーケット環境が大きく変化しつつある2022年においては、人口の動態の変化や働き方の多様化に伴い賃貸需要も変化していくことが予測されます。
不動産投資家として、情報収集をすることで変化するマーケットに対応できる知見を得ておくことも重要な仕事の一つです。変化に対応する姿勢がないと、パフォーマンスが低かったり損失が出てしまったりする物件に投資を続けることになるリスクがあるため、常に最新の情報に感度高く接していきましょう。
一般の個人投資家が不動産マーケットに関する最新の情報に触れることは困難であるかもしれません。そこで、信頼できる不動産のプロをパートナーにしておくことで、正しい情報を基に正しい判断ができる可能性を高めることができるでしょう。
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