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世界遺産検定1級に全体2位の点数で合格しました(勉強資料付き)

私は2020年に世界遺産検定を受験し,第41回で2級,第42回で1級を取得しました.特に年末に受験した1級の試験では全受験者約1400人のうち第2位となる高得点を取ることができました.この記事では主に今後受験される方に向けて,私が受験の前に取り組んだことを書いていきます.また勉強中に個人的に作成した勉強ノートを載せておりますので,勉強にお役立ていただければ幸いです.

世界遺産検定学習資料 - GoogleDrive

受験の動機

私は大学院で理系の勉強をしている修士課程2年生です.昨年の6月ごろに就活を終えると,それ以降時間的な余裕ができました.学生なので当然研究をして論文を書かなければいけないのは間違いないのですが,ただでさえコロナ禍でほとんど外出ができない上,残り約1年間ひたすら研究のみに取り組むというのは気が滅入ってしまいそうなので,並行して何か新しいことを始めてみようと思い立ちました.現在の専攻や就職先に関連した勉強をしても良かったのですが,ここはあえてそれとは全く関係ないことをしてみたい気持ちがあり,その中の一つとして取り組んだのが世界遺産検定でした.

なぜあらゆる選択肢の中からこの検定を選んだのかというと,そのルーツは私の幼少期に遡ります.私は小学校くらいの頃,家族に買ってもらった「世界遺産大図鑑」みたいな本(タイトルは忘れました)を夢中になって読んでいた時期がありました.何度も読むうち本に載っている大抵の世界遺産は自然と頭に入っていたので,自分的にはある程度世界遺産に詳しいのだという謎の自信があり,実際テレビのクイズ番組でもそういった系の問題はかなり得意なほうでした.しかし世の中は広いもので,某クイズ番組では航空写真を見ただけで世界遺産の名前を当てられるような人もいて,大学生にもなれば「俺は世界遺産に詳しいぜ!」などと声を大にしては言えなくなりました.そんな寂しさからか,いつかもう一度ちゃんと勉強してみたいという思いがあり,以前から名前だけは知っていた世界遺産検定を「まとまった時間ができたら受験したいな」程度には考えていました.人生にまとまった自由な時間なんてなかなか訪れないものですが,大学院2年生にして幸運にもそれを手にした私は「今しかない」と感じました.私はただ,もう一度「俺は世界遺産に詳しい」と宣言するために勉強を始めたのです.

世界遺産検定とは

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世界遺産検定公式サイト

世界遺産検定はその名の通り世界遺産やそれに関連する知識を問う検定で,年4回開催されています.趣味で受験される方の他,旅行や交通系の業種では持っていると仕事に活用できることもあるようです.また芸能人でも受験されている方が多い気がします.

検定は4級から1級,さらにその上のマイスターと全部で5段階の試験があります.1級までは全て選択問題であり,マイスターのみ記述試験になります.2級までは誰でも受験することができますが,1級は2級を合格後に,マイスターは1級を合格後に受験が可能になります.問題数や時間,出題範囲はそれぞれの級で異なりますが,基本的には公式のテキストと過去問題集があるのでそれを元に勉強していきます.その他詳細は公式サイトを見ていただければと思います.

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出題内容は基本的に以下の3種類に大別されます.

- 基礎知識(認定までの流れ,認定機関,制度など)
- 日本の遺産
- 世界の遺産

基礎知識と日本の遺産に関しては基本的にどの級でも勉強し,世界の遺産は級が上がるにつれて覚える個数が多くなっていきます.

受験体験記(2級)

個人的には最初から1級を取りたかったのですが,2級を取得しないと1級を受けられなかったのでまずは2級にトライしました.私が受験したのは第41回(2020年9月)で,検定に申し込んだのは7月頃でした.受験料5,900円,お高め...

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二級では公式テキストをもとに,基礎知識+日本の遺産全て+世界の遺産300 個を覚えます.私がテキストを買ったのは7月頃ですが,なんだかんだ放置してしまって勉強を始めたのは1ヶ月ほど前からでした.私がやった勉強は以下の通りです.

1. 公式テキストをざっと読む
2. 過去問を1年分(4回分)やる
3. 公式テキストを読み直し,重要そうな部分にマーカーを引く
4. 国ごとに遺産を覚える
5. 時間の許す限り細かい情報を覚える

まず,公式テキストをざっと読んでみました.初めは「2周くらい読めばだいたい頭に入るっしょ」と思って読んでいたのですが,読み進めていくとだんだん内容が頭に入ってこなくなります.馴染みのない無数のカタカナ言葉,同じような説明,同じような見た目... 流し読みしていると眠気に襲われ,「今自分は必死で何を覚えているんだろう」という虚無感に襲われます.

このままでは何も覚えられないと感じた私は,まず過去問を見て出題されそうな部分はどこなのかを探ることにしました.しかし過去問をやってみたところ,なんと合格点60点に対して70点くらい取れてしまいました.小さい頃に「世界遺産大図鑑(仮)」を読んでいた成果が現れたようです.現状のままでも受かる可能性はかなりあると分かって一安心したのですが,決して自信を持って正解できている訳ではなく,またあくまで目標は1級ですので,本番までしっかりと勉強していこうとは思いました.

過去問を解いた結果,問題の傾向として

- 基礎知識と日本の遺産からの出題が多い
- 基本的にテキストの太字の用語しか出ない

ということがわかりました.「世界遺産」と言いつつやはり序盤の知識問題と日本の遺産を重点的に勉強すべきであること,テキストの重用語を把握すればほとんど全ての問題に答えられることがわかりました.

となると勉強の中心となるのはテキストを読み込む作業です.私は分厚いテキストを読み飽きるのを防ぐため,重要な部分にマーカーを引きながら読んで見返しやすくしました.テキストを覚えれば得点が取れる試験に関しては,マーカーを引く作業は有効な気がします.

また,勉強する上で最も苦労するのは馴染みの薄い世界の遺産です.そもそもよく知らない遺産に対して,遺産名,国,関連する重要語をまとめて覚えるのはかなり大変な作業です.そこで,私はまず重要語を捨てて,

- 遺産の名前
- 遺産のある国
- どんな遺産か,他の遺産との違い(ざっくり)

を頭に入れることにしました.教材には巻頭に国ごとの遺産をまとめたページがあるので,国ごとの遺産の名前のリストだけを見ながら国名と遺産名を一致させるとともに,それがどんな遺産なのかを思い浮かべることにしました.遺産のざっくりした特徴を整理することによって,似たような遺産を位置,特徴の両方から差別化することができ,遺産一つ一つが意味のあるものとして記憶に残りやすくなります.それぞれの遺産に関するイメージが持てたら,そこに太字になっている重要語の情報を少しずつ付加していきます.

結局最後まで全ての重要語を完璧に覚えられた訳ではありませんでしたが,直前には公式の模擬テストで満点を取れるほどになりました.

そして本番,会場に行くと思った以上に大きな会場でたくさんの人が受験しており,検定の人気の高さを実感しました.いくつか不安な問題はありましたが,合格点には達しているという確信を持って試験を終えることができました.試験の翌日には解答が公開され,約1ヶ月後に合否が発表されるのですが,98点(100点中)を取り無事合格することができました.

ちなみに,受験日の近くに引っ越しをしたせいか,なぜか認定カードが手元に届かずじまいになっています.私の2級認定カードは一体どこへ...?

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受験体験記(1級)

2級合格後,引き続き1級に申し込みました.1級は全ての世界遺産(執筆時点で1,121個!)が対象となり,その分教材も分厚くなりました(しかも2冊).1級は1年に2度しか開催されず過去問の量が少ないため,2019年度版の過去問も購入しました.受験料9,900円に公式テキスト2冊と過去問集2冊... これだけ費やしてしまってはもう合格するしかありません...

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2級と1級の違い

1級は覚える遺産の個数も増えたうえに,合格ラインも2級の6割から7割に上がります.しかし2級との違いはそれだけではありません.2級で9割以上得点できていた私は,2級と同じように「大して勉強しなくても合格ラインには届くだろう」と高をくくっていたのですが,過去問を見て驚きました.

「...全く分からないぞ...?」

選択肢のが違うのです.具体的に説明します.例えば,2級で以下のような問題が出題されるとします.

Q. フランスにある世界遺産はどれ?
1. ゴレ島
2. ブールジュ大聖堂
3. 古代都市シーギリヤ
4. ロス・グラシアレス国立公園

聞いたことがない遺産が多いとは思いますが,どれが正解だと思いますか?

なんとなくヨーロッパには大聖堂がありそうだし,他の選択肢はなんとなくフランスのイメージとは違う名前だし,2っぽい感じがしませんか?その直感通り,2が正解です.少し勉強して選択肢の遺産に見覚えがあれば,正解率はさらに上がるでしょう.

しかしこれが1級では以下のようになります.

Q. フランスにある世界遺産はどれ?
1. アーヘン大聖堂
2. ブールジュ大聖堂
3. ブルゴス大聖堂
4. ロスキレ大聖堂

選択肢が全部ほぼ同じです.手がかりが何もありません.2級ではなんとなくそれっぽい選択肢を選べば正解できたのに,1級ではどの選択肢もそれっぽいという事態が起こっています.この問題は架空の問題でありあくまで1例ですが,このように選択肢を勘で選べないというのが一番の大きな違いだと感じました.

出題範囲も増え,合格点も上がり,選択肢もややこしい...明らかに受験者を落としに来ています.2級の合格率は60%程度あるのに,1級の合格率が20%になっているのも頷けます.2級合格者と1級合格者の間には非常に高い壁があるのです.

勉強法

1級の対策として私がやったことは以下のようになります.

1. 教科書を読みつつマーカーを引く
2. ノートに重用語をまとめる
3. 過去問を解く
4. 国ごとに遺産を覚える.
5. テキストとノートを見つつ重用語を頭に入れる

基本的には2級の勉強法を踏襲しています.まずはテキストにマーカーで線を引く作業をしました.覚える遺産の量が4倍になったので,これらの作業にかかる時間も単純に4倍になりました.

さらに,覚える量が増えて困った私は同時にノートを作ってまとめることにしました.例えは,「クロンボー城ってどんな遺産だったっけ?」と思った時に遺産から重要語を探し出すのは,遺産のページを開けば済む話なので簡単です.しかし,逆に重要語からそれがどの遺産のものだったかを思い出すのは至難の技です.例えば「ゲザムトクンストヴェルクって用語は頭に残っているけどこれはどこで出てきた言葉だっけ?」となった時に,全てのページを見直すのは絶望的な作業です.そこで,重要語と遺産名を対応させたノートを作りました.これによって重用語を簡単に探せるようになりました.さらに,聖堂の名前など混同しやすいものに関してはノートに別でまとめました.

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なお,このような作業をしたい時iPadは非常に便利で,私はGoodNotesというノートアプリを使って情報をまとめていました.電子的なノートだと情報を追加したり移動させたりするのがとても楽で,さらに手書きで文字を書いても検索できたりするので使い勝手が良いです.ここに私が勉強した際にまとめたノート(GoodNotes形式のファイル,PDFファイル)を公開いたします.全て手書きであり,綺麗に整理してあるわけではないので読みにくい箇所も多々あるとは思いますが,もし参考になれば幸いです.

ノートのリンク → 世界遺産検定学習資料 - GoogleDrive

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(注)このノートだけで合格するのはおそらく不可能ですので,公式の教材を購入することを強くお勧めします.

テキストを読んでマーカーを引きつつノートにまとめるという作業を教科書2冊分,およそ1ヶ月程度で完了した後は,とりあえず過去問を解いてみました.これだけやれば高得点が取れるかなと思ったのですが,実際には140~160点程度しか取れませんでした.やはり難しい... その後は2級と同じく遺産を国ごとに覚える作業をしつつ,テキストやノートを見てひたすら重用語を頭に入れました.

ちなみに,ややこしい用語がたくさん出てきたので,存在しない検定の問題まで作ってしまいました.骨のある問題が解きたい方はチェックしてみてください.

世界遺産検定-69

また,テキストに載っていない知識もいくつか入れて臨む必要があります.例えば,以下のような項目はチェックしておいたほうがいいでしょう.

- 去年と今年の世界遺産委員会の開催地
    - 開催地の名前や,その国にある遺産が問われることがあります
- 今年審議中の日本の世界遺産候補
    - まだ世界遺産になっていなくても,暫定リストに登録されている日本の
       遺産に関してはかなり詳細に聞かれることがあります
- 直近で登録された世界遺産
    - 前年に登録された遺産が答えになる問題がたまにあるので,「前年に
       登録された」という事実を知っていると大きな手がかりになります.
- 日本,世界の無形文化遺産
    - 無形文化遺産リストは全て覚えるくらいのつもりがいいかもしれません
- ユネスコ事務総長の名前,日本のユネスコ全権大使の名前
- その他最近話題になった世界遺産
   
- 私が受験した時期は,モスクになったアヤソフィアや,火災のあった
      ノートルダム大聖堂がホットトピックでした.

結局,勉強には2ヶ月ほどを費やしました.そして本番はというと,例年になく過去問と似た問題が多く出題されたこともあって,想定以上に順調に解き進めることができました.そして返ってきた結果を見るとなんと194点(200点中)という高得点でした.なお全体平均も124点と例年よりかなり高かったので,易化していたのは間違いなさそうです.

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さらに,同封されていた認定カードにはなんと

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「第42回世界遺産検定1級 第2位」の文字が!こうなると1位を取れなかったことは残念ですが,期待していた以上の高い点数を取った結果,このようなプレミアムな認定証をいただけたことは非常に嬉しかったです.

今後は自信を持って「俺は世界遺産に詳しいぜ!」と言っていきたいと思います.

受験して感じた意義

世界遺産を勉強したことで,東◯王や◯さま等のクイズ番組でわかる問題が増える,旅行先での見所が増えるといった変化はありましたが,それ以上に得られたものがあったと感じでいます.それは,他国の文化に対する理解です.

世界遺産について勉強をしていると,必然的にその国の文化や歴史を知ることになります.なぜその遺産が重要なのか,他と何が違うのか,どのような歴史を辿ってきたのかといったことは,その背景を知ることで初めて理解できます.私は勉強を通して,例えばポルトガルの建国の父がアフォンソ1世であること,ロイ・マタがバヌアツの伝説的人物であること,タキエンタがトーゴ人のシンボルであることを知りました.日本にいれば馴染みが無いことでも他国の人にとっては誰もが知る常識のようなものであり,私がもし将来他国の方と話す機会があったとき,これらの知識は相互理解にとても役立つでしょう.もちろんあくまで世界遺産に関連した断片的な知識なのでその範囲は限定されますが,他国の文化を学んでいく最初の入り口としてはとても良いものだと感じています.

なにより,個人的には勉強をしてみて純粋に楽しかったので,興味がある方はぜひ受験してみてはいかがでしょうか?

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