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    龍谷大学社会学部・椿原ゼミによる読書案内とエッセイ。

最近の記事

無意識のバイアス―人はなぜ人種差別をするのか― ジェニファー・エバーハート

私たちは無意識に人を見た目で判断する。皆さんはバイアスという言葉を聞いたことがあるだろうか。それは、物事を判断する際に偏見や先入観が先立ってしまうことである。この本は筆者が実際にアメリカで経験したことや調査データをもとに差別とバイアスの関係性を書いた本である。全10章で構成されている。本文では興味深いと思った章を厳選して紹介していきたい。尚、本文中に「黒人」という表現を用いるが差別的意味合いではなく、「白人」と「黒人」の二項対立を深めるために用いるので悪しからず。 初めに興味

    • ダークツーリズムとは ~悲しみを巡る旅~

      井出明 (2018) 『ダークツーリズム拡張-近代の再構築』 美術出版社  あなたはダークツーリズムという言葉を耳にしたことはあるだろうか。ダークツーリズムとは近代に起きた悲劇の地を巡る旅行のことである。そして、その目的は近代社会の問題に着目し、その全体像を理解することである。  本書は8章構成となっている。各章ごとに異なる地域が取り上げられており、著者が実際に行ったダークツーリズムが詳細に書かれている。今回は第8章の「ダークツーリズムで見る長崎」についてみていく。この章で

      • どうして「スター」にときめくの?

        (紹介書籍)リチャード・ダイアー、訳者浅見克彦(2006)『映画スターの<リアリティ>拡散する「自己」』青弓社.  映画の世界にはたくさんの「スター」と呼ばれる演技者たちがいる。観衆からすれば「スター」はとても美しく、きらびやかで憧れる存在である。実際、あるスターのファッションや髪型が注目され、真似るという社会現象は今まで何度もあった。  「スター」はハリウッドのスター・システムというビジネス目的で生まれ、マス・メディアを巧みに利用し、特定の「スター」に対するイメージを観衆

        • 3つの観点から捉える、日本人の宗教の特徴とは

          【紹介文献】 宗教と日本人-葬式仏教からスピルチュアル文化まで- 岡村亮輔著   本書は、日本人の宗教やその特殊な価値観について、信仰・実践・所属の3つのキーワードから紐解いていくというものである。日本人の大半は信仰を持たないとしているが、仏教や神道などが身近にある。それでは日本人は本当に無宗教と言えるのだろうか。また、信仰を持たないのか。こうした問いを手掛かりとして、日本人の宗教の特徴がまとめられている。 第一章では、この本で重要なキーワードである信仰・実践・所属が登場す

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        記事

          アメリカ黒人史ー奴隷制からBLM運動までー

          【紹介文献】アメリカ黒人史ー奴隷制からBLM運動までー ジェームズ・Mバーダマン 著 / 森本豊富 訳 黒人が奴隷として歴史に登場するようになったのは約400年前に遡る。その黒人史を扱ったのがこの一冊であり、ヨーロッパの植民地に奴隷として導入されるようになった初期の事柄から、近年のBLM運動(Black Lives Matter)以降の内容まで扱っている。また、黒人が「ジム・クロウ法」によってせべつされるようになった経緯が簡潔に記されており、アメリカ合衆国の黒人事情を初めて

          アメリカ黒人史ー奴隷制からBLM運動までー

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          【紹介文献】アメリカ黒人史ー奴隷制からBLM運動までー ジェームズ・Mバーダマン 著 / 森本豊富 訳 黒人が奴隷として歴史に登場するようになったのは約400年前に遡る。その黒人史を扱ったのがこの一冊であり、ヨーロッパの植民地に奴隷として導入されるようになった初期の事柄から、近年のBLM運動(Black Lives Matter)以降の内容まで扱っている。また、黒人が「ジム・クロウ法」によってせべつされるようになった経緯が簡潔に記されており、アメリカ合衆国の黒人事情を初めて

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          共生の行方~コミュニティと都市~

          【紹介書籍】吉原直樹(2019)『コミュニティと都市の未来―新しい共生の作法』筑摩書房.  著者の吉原さんは都市社会学の研究者で、本書では多文化社会となった日本の都市とコミュニティについて論じられています。  昔に比べ、日本には移民が増加しました。この本では、移民都市にもたらす影響や、それに伴う共生の在り方の変化について、論じられています。この本にはほかではあまり見られない特徴があります。本書は三部構成で、1部:共生、2部:多様性、3部:ボーダーとボーダーレスと題されていま

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          自分の身体って不思議。

          〔紹介書籍〕鷲田清一(2005)『ちぐはぐな身体―ファッションって何?』筑摩書房. 私たちは自分の身体についてどれだけ知っているでしょうか。自分の身体を、鏡や写真を通して間接的に見たことがあっても直接見たことはありません。なのに、ひげを剃ったり、最近ちょっと太ったかな?なんてダイエットを決意したりと、他人からどうみられるかを気にします。この本は私たちの身体についてファッションを通して考えた一冊です。  私たちは傷ができて痛いと感じたり、何かに触れて初めて自分の身体を「イメー

          自分の身体って不思議。