僕の BAR としての原風景(1)
前回の投稿で、お店をやりたいというきっかけになった出来事をお話ししたので、
ついで、と言っては何だが、
僕の場合の「 BAR の原風景」のようなものを書いておこうと思う。
前述の通り、うちの家庭は親がコーラとかファンタのような子供が一番喜びそうな
所謂市販のジュース類を全く買ってくれない家だったので、
たまに友達が遊びに来てくれても、振る舞う飲み物がない。
よその家では、それなりにそういった物を何かしら用意してありそうなものだが、
うちの家では、それが一切ない。
夏は、麦茶くらい。
冬は、何だったっけ。
体がデカかったので、一応ガキ大将的な存在だった(と思う)僕にとっては、
これではどうにも格好がつかないので、それが嫌で仕方がなかった。
そこで、幼い健吾君、何を考えたかというと、
(これは、いまだに姉貴にからかわれるのだが(笑 )
冷凍庫の製氷機の氷に、普通の水を注ぎ、これに砂糖を入れる、
いわば、自家製のジュースを出したのだ。
ジュース??
単なる砂糖水である(笑。
出された方はたまったものではない。
単なる砂糖水なのだから(笑。
ところが、どっこい、そこはガキ大将の特権。
美味いと言わせる(笑。
いや、言うまで帰さない(笑。
ずっと、見つめている(笑。
出された方は、仕方なく「う、うん。美味しいよ。」
きっと、いたたまれなかったのだと思う。
(一応、両親の名誉のために記しておくが、うちの家は恵まれた極々一般的な家庭で、決して貧乏の部類ではなかったように思う。)
しかしながら、今にして考えてみると、
これって、僕のやった「最初の BAR 」 なんじゃないか、と思う。
砂糖水は「最初のカクテル」。
実は「僕の BAR としての原風景」は、案外そんなところにあるのかもしれない。
なんて、最近思っている。
あの、キャッチボールをした後の、汗ばんだ体で振る舞った一杯。
ちょっと強引ではありますが(笑、やっぱり「美味しい」と言われると、
「嬉しかった」という感覚だけは、幼心に残っています。
それにしても、
あの時の友人、いや、僕の「最初のお客さん」。
この場を借りてお詫びします。
すみませんでした。
今はもう少しまともな物をお出ししています(笑。
ところで、この話、
ちょっとした展開があるので、それはまた次回。
神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。
急に寒くなって来ました。ご自愛ください。
お待ちしております。
Siegfried (feat. Nya) / Erik Truffaz
1999
Warner Music France
(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)