助演
男の太ももが射精に震えるのが好きだ。
どこか普通にしていても力の強い、骨張った体躯。どう足掻いたって自分の体と心とは違うそれが、ふるふると赤子のように崩れるさまが好きだった。
かっこよくあろうとする人が好き。自分の信念を持っている凛とした人だって、喜ばせることが大好きな人も、みんな。
しかしどんな大人ですら性の前にはこうべを垂れる。
お行儀のいいデートコース、お姫様扱いのエスコート。好きなものを覚えてくれいるその童心。ああそこに、一切の下心を匂わせない。
優しさ、思いやり、配慮。材料には事欠かない。丁寧に丁寧に隠している。
女が女優なら、男もそうだ。
それがこの世界で生きる暗黙の了解とでも言うみたいに、理想的な男性を演じている。
女の望む理想を身に纏うのだ。
上品な封筒のなかから垣間見える本性が私は何より好きだった。まるで配慮のない霆。女の前では決して見せない汚い攻撃性。巡り巡って火を灯される。もっとみたくなって近寄って、そうっと嗾ける。
なんて、美味しい。
そんな完璧な男たちが一生懸命取り繕った体裁すら、容易く取っ払ってしまう人体の神秘。
性器が男性の脳だというのなら、ああ、それをいっそのことすべてこの口で食べてしまいたい。