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桜と4月入学と日本人。
4月入学問題が去年あたりに少し論争になった。
当初は大学は9月入学だったが国内の事情で4月入学が定着した。
徴兵制導入に伴う財政事情だったようだ。これも合理化ですよね。
夏目漱石の『三四郎』には9月入学の光景が描かれている。
9月入学論争
定着100年目にして9月入学論争がコロナ禍で起きた。
そして一瞬で消えた。
それぞれの事情に合わせて選択肢が増えるのはいい事だと思う。
特に通信制であればいつ入学しても構わないと思う。
その論争の中でテレビ局が高校生にインタビューしているのがたまたま付けたテレビで見かけてその男子高校生の意見に大変心をくすぐられた。
男子高校生は首をかしげながら、自信なさげに4月入学で良いという理由を述べた。とてもシンプルだった。
”桜が咲くから?”
桜が咲くから4月入学で良いという意見だった。
当人は自信がなかったのか首を傾げ疑問符をつけるような言い回しだったが
私のこころは捉えた。
桜が咲くから4月入学でいいじゃないか。
そう思ったのである。
桜はソメイヨシノの登場から自分で繁殖できない品種。
よって人間の手によって接ぎ木で増える以外にない。
偶然近くの気に接ぎ木で増えることはあるが
基本人間の手によらないと繁殖できない。
それだからソメイヨシノは実質クローンで
同じ場所に植えられたソメイヨシノはほぼ一斉に開花し散っていく。
それが季節のうつろいを俳句で読んできた文化を持つ日本人にとって
とても大事な無常観の象徴になった。
そしてその時期に出会いや別れ、新しい生活を始める
ことの最高のエモい演出を桜はしてきた。
日本人の思い出を彩る最高の脇役だ。
だから多くの日本人は桜が好きなんだと思う。
エモいからいいしそれが好きだから、
で十分な理由だと思う。
何故日本は4月入学なの?
そう問われたら、
桜が咲くから、桜が好きだから
ってそう胸を張って応えればいい。
ただそれだけである。