[祝!ストラスキャスター®誕生70周年] 名器を鳴らす名手たち
♪ "Voodoo Child (Slight Return) " by Various Guitarists
少し前に受け取ったニューズ・レターに、今年2024年はフェンダー社のストラスキャスターが誕生して70周年とのお知らせがありました。
上の映像はそのプロモーションの一環としてフェンダー社が制作したものです。
曲はご存知Jimi Hendrixさんの”Voodoo Child”、素晴らしいギタリストたちが競演しています。
およそギタリストと呼ばれる人種で、この名器を鳴らしたことのない人はいないのではないでしょうか。
発売開始当初はさほど評価されなかったとも聞きますが、Hendrixさんが使用することで一気に知名度が上がったそうですね。
彼の独創的かつイマジネーションに溢れたプレイを見たLeo Fenderさんが(あまりに想定外の扱いゆえ)激怒したとか。
Fenderさんには悪いけど、ちょっと笑えてきますw
というわけで今回はフェンダー・ストラスキャスターを鳴らして、私を痺れさせてくれたギタリストの方々(のほんの一部)をまとめてみました。
♪ "Good Times" by Nile Rodgers & CHIC feat. Rebecca Ferguson
そのカッティングとグルーヴで、70年代後期から80年代初頭の”ディスコ・エラ”に君臨したNile Rodgersさん。
上掲のプロモーションにも登場されていました。
映像は英BBC Radio 2が4年ほど前に企画した「Live at Home」シリーズから。
中盤に入るRodgersさんのラップも味わい深い。
必殺の切れ味で時代のスタイルを築いた偉人です。
♪ "Tightrope (Live From Austin, TX)" by Stevie Ray Vaughan & Double Trouble
私にとっては「カッコいいギタリスト」のひとつの典型、生粋のテキサス野郎、Muddy Watersさん〜Johnny Winterさん直系のブルーズ魂を秘めた男。
映像は地元オースティンでのライヴ、ソロ・プレイも弦を引っ掻き回すように豪快かつスリリングです。
このブっとい鳴りはずっと聴いていたくなります。
[ちょっと寄り道]
そういえば上記のお二人を挙げたところで気づきましたが、Nile Rodgersさんプロデュース/David Bowieさん作・歌唱/Stevie Ray Vaughanさんギター参加、という私の好物が大集合した曲が1983年にあったんですね。
♪ "Let's Dance" by David Bowie
思えば贅沢な時代だ…
♪ "Led Boots" by Jeff Beck
続いては偉大なJeff Beckさん、さすがの貫禄。
老舗クラブ、ロニー・スコッツでの映像、Beckさんの手元もよく見えます。
Beckさんはギブソン社のレスポールの使用も多くあり、そちらの艶やかな音色も大変魅力がありますよね。
Rod Stewartさんとの”People Get Ready”ではテレキャスターを、乾いていながら優しく鳴らしてくれましたし…結局どれも好きってことか…
♪ "August 10" by khruangbin
も〜ホントに私はKhruangbinが大好きで、いつからどうして好きになったのか記憶にないのですが、気づいたら彼らのすべての音源を追い続けています。
リヴァーブの効いた幻想的なMark Speerさんのギターが、その魅力のひとつであることは間違いありません。
テクニックという概念を超越しているようでいながら、ペンタトニックや絶妙なタイム感、不思議なコードの鳴らし方などに中毒してしまっているのです。
♪ "Cliffs Of Dover" by Eric Johnson
まてよ、先のRay VaughanさんもKhruangbinもテキサスの人たち、このJohnsonさんもそうだ…みんな色合いが違うけど。
Johnsonさんの魅力はなんといっても美しい音色で紡ぐ美しいフレーズです。
この映像の前半のようなインプロヴィゼーションでより一層際立ちますが、ハーモニクスや卓越したピッキングなど、本当に美しくギターが鳴っています。
♪ "Congo Square" by Sonny Landreth & Derek Trucks
かのEric Claptonさんから「My hero」と呼ばれる、「ビハインド・ザ・スライド」の名手。
デルタ・ブルーズもザディコもケイジャンも飲み込んで独自の音を鳴らすお方。
映像は、こちらも私の大好きなDerek Trucksさんとの贅沢な共演です。
つまりフェンダー・ストラトキャスター vs. ギブソン・SG[スライド編]。
お互い必殺技の応酬、楽しそうだなぁ。
♪ "At The Dark End Of The Street" by Ry Cooder
スライド・ギターといえばこの方も外せません。
BBCの名物番組に出演した若き日のRy Cooderさん、この時30歳前後かと。
曲はJames Carrさんのサザン・ソウル名曲、フィンガー・ピッキングによる暖かくも澄明な音色が誰にも愛される理由ではないでしょうか。
Cooderさんも様々なギターをお使いですが、私としてはやはりストラトキャスターの人です。
♪ "Scar Tissue" by Red Hot Chili Peppers
John Fruscianteさんも天才肌のギタリストですね。
こちらもFruscianteさんには珍しく、クリーンなトーンでスライドを聞かせてくれています。
哀愁漂うリフもステキ。
破天荒なプレイも目立つ方ですが、伴奏のセンスは特筆すべきだと思います。
♪ "Airplane Mode" by Cory Wong
グルーヴの渦をギターで生み出す新世代のカッティング・マスター。
今、一番気持ちよくストラスキャスターを鳴らす男(個人的見解)。
シリウスxmの小さなスタジオ・ライヴだけになんだかアットホームな感じです。
この曲のソロ・アクト、以前別の記事でもご紹介したことがありますが、その映像もフェンダー社関連だしメチャクチャいいのでもう一度あげてしまいます。
フェンダー社がWongさんのシグネイチャー・モデルを企画した時のエピソードが私は好きなんですが、
てなやりとりがあったと聞きます。
いい話だなぁ、と思うのは私だけかしら。
そういえば6月に来日するっていうじゃありませんか。
♪ "Tokyo Rose" by 村上”ポンタ”秀一 feat.Char tribute to 大村憲司
村上ポンタさん主催のライヴでCharさんとともに大村憲司さんへのトリビュート、会場は中野サンプラザ。
と聞くだけで泣けてしまうお父さん方もおいでではないでしょうか。
この四つの要素のうち三つがすでにこの世に存在しないなんて…
Charさんのクリーンなトーンが、大村さんの名曲を一層華やかにかつ切なく響かせます。
改めて大村さんの原曲もどうぞ。
こちらは1997年、地元神戸のチキンジョージでのライヴとのことです。
厚みがあって艶がある音色、ギターが歌っています。
なんだか偏った人選になってしまいましたが、今の気分にのっかって挙げてみたものですので他意はございません。
Leo Fenderさんが初めてソリッド・ボディのエレクトリック・ギターを開発してから75年、その5年後に生まれたストラスキャスター。
設計・製造、そして作曲者、演奏者、技術者など、数多くの先達のおかげで私たちが素晴らしい音楽を享受できることに感謝したいです。
ストラスキャスター誕生70周年おめでとうございます!
top image : nathanlerouge, Thank you for letting me borrow your wonderful work.