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万華鏡の中のサイケデリア [極私的プレイリスト]
仕事で都内をウロウロしていた日、用件と用件の間が微妙に空いてしまいました。
古本屋さん巡りをするにも、好きなレコード店へ行くにも、中途半端な時間だね。
さしてお腹もすいてないし。
などと思案しながらオフィス街から繁華街へとポクポク歩いていると。
前方路上に「万華鏡専門店」なる小さな看板がありました。
大きなビルの1階、路面店が並ぶ一角に少し引っ込んだかたちで入口のドアが見えます。
「万華鏡…」
最後に万華鏡というものを覗いたのは、いったいいつのことであろ。
専門店というからには、お店の中にはあまたの万華鏡があることであろ。
ここはひとつ、ひつまぶしに、いやひまつぶしに覗いてみるのも一興。
店内はやや薄暗く、ところどころにさまざまな照明スタンドが灯っています。
間口は小さいのですが奥行きは想像したよりも深く、四角い洞窟のようです。
シタールの単音が低く流れる中、入口近くの大きなオブジェに取り付けられた覗き穴に吸い寄せられました。
「ふわぁぁぁ…」
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Superflow - Bachelor Thesis - "Accelerator"
やばい、目が、離せなくなって、いる。
脳内のプレイヤーからはシタールの音色にかぶせて別の曲が流れてきます。
♪ ”The Private Psychedelic Reel” by The Chemical Brothers
![](https://assets.st-note.com/img/1699577170719-QqXnVvdVh2.png?width=1200)
背後にひとの気配がしたので、ようやく覗き穴から顔面を引き剥がしてふりかえると、私の至近距離に長髪長身・黒ずくめで亀川千代さんそっくりの女性が。
「うわぉっ!…あ、こんにちは…」
亀川さん(にそっくりな女性)は微妙に私から視線を外したまま、
「…こちらはオランダの作家のものです。アメリカ西海岸の作家のはこちらから…」
と壁際の棚を示してくれました。
心臓を押さえつつ女性にお礼を言い、次のオブジェを覗いてみます。
「ううむ、背後に亀川さんの気配を感じていると、どうしてもこの曲を想い出してしまう」
♪ ”2005年世界旅行” by ゆらゆら帝国
![](https://assets.st-note.com/img/1699577402166-hXBlzWSoHf.jpg?width=1200)
次はこれか。
おぉ、けっこうハードな視覚効果…ファズがかかったギターのようだね。
♪ ”Only Shallow” by My Bloody Valentine
ちょっとヴィンテージっぽいのも覗いてみよう。
♪ ”Tomorrow Never Knows” by The Beatles
![](https://assets.st-note.com/img/1699577495877-g29lGdiQkG.jpg?width=1200)
これは西海岸の作家と言ってたけど、ゆったり動くなにものかが見えるよ。
♪ ”Apropos Of Nothing” by The Dream Syndicate
続いてチリの作家の新作だって。
ちょっとノスタルジックなイメージにはこの曲かな。
♪ ”I’ll Only Say This” by The Holydrug Couple
こっちはオーストラリアか、ポップな感じがいいね。
♪ ”Expectation” by Tame Impala
次から次へと万華鏡を覗きつづけ、いつの間にかお店の奥まで進んでいました。
白い壁がほの明るく発光しているようで、その壁にも床にも、私の体にも大きな花模様のような曼荼羅のようなカラフルな光が浮かんで、ゆっくり回転しています。
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気づけば私のとなりに亀川さん(にそっくりな女性)が立っている…
今度は私の目をまっすぐ見つめて口を開きました。
「お気に入りのものはありましたか?」
すぐに言葉が出てこない私から視線を外すと、突き当たりの壁へ右手を差し出す亀川さん(にそっくりな女性)。
そこには小さな扉があり、プレートの文字はこう読めました。
”Paisley Park”
そして彼女が開いた扉の向こうからは、眩いばかりの光と音楽が…
♪ ”Paisley Park” by Prince & The Revolution
images : Viscious-Speed, Humpty22 and GDJ,Thank you for letting me borrow your wonderful work.