「Playing for Change」の動画にずっと見入ってしまう件
「Playing for Change」というプロジェクトのことは、以前からご存知の方もおいでかと思いますが、ちょっとご紹介を。
「Playing for Change」は、ベーシスト/エンジニア/プロデューサーであるMark Johnsonさんと映像プロデューサーであるWhitney Ann Kroenkeさんによって2002年に設立されました。
「音楽を通じて世界の人びとを結びつけ、既成の壁を破り、ポジティヴな変化を生み出す」
これがプロジェクト設立のステートメントです。
Johnsonさんがサンタモニカを訪れたとき、ストリートで演奏していたRoger Ridleyさんが歌う「Stand By Me」を聴いたことでこのプロジェクトの骨子を思い描いたといいます。
その最初の企画がこれ。
初期の収録のようすも垣間見えてたいへん興味深いです。
♪ "Stand By Me" (Ben E. King) /Playing For Change
プロジェクト・メンバーは50ヵ国以上を巡り、150人以上の有名無名を問わないミュージシャンにオファーし、独自に開発したモバイル・レコーディング・システムでもって音と映像を録りまくったそうです。
キーやタイム感を合わせ、ミキシングや編集をする作業は考えただけでも大変そうだなぁ。
先年、日本でも証券会社のTV-CMでいくつかの映像が使われ、数多くの方の認知を得たことと思います。
♪ "Listen to the Music" (The Doobie Brothers) /Playing For Change
このような活動によくあるように、「グローバル・サウスなどの地域に対する文化的搾取ではないか」といった批判もあるようですが、知られにくい音楽家を世界規模で発信し、映像収益やコンサート活動、募金から、各地の難民へのサポートやアフリカ地域で子供のための学校を設立するなど、その意義は決して小さいものではないと思います。
私個人としては、例えば上掲映像では「わ!James GadsonさんもEllis Hallさんもお元気!」とか「Charさん、地元の戸越八幡神社で演奏してる?」とか楽しみが尽きないのですが、初めて見る音楽家を知ることの喜びも大きいです。
♪ "The Weight" (The Band) /Playing For Change
この映像など、昨年亡くなったRobbie RobertsonさんがRingo Starrさんの呼びかけでギターを弾きだすところでグッときます。
(まぁ編集なんですけど)
注目したのはRajeev Shresthaさんのシタール!めちゃテク!
ジャマイカの女性デュオ、もっと聴いていたい!
♪ "When The Levee Breaks" (Led Zeppelin) /Playing For Change
1920年代のミシシッピ大洪水を題材にしたブルーズ曲を、Led Zeppelinがカヴァーしたことで知られるヘヴィ・ナンバー。
現代の地球環境問題への警句としても歌い継がれるべき曲です。
John Paul Jonesさんのスタイリッシュな姿を拝めるのも貴重ですが、Elle Márjá Eiraさんの倍音含みの声、keith secolaさんのスライド、buffalo nicolsさんの渋い喉、Tedeschi & Trucks夫妻など、私的なツボを狙い撃ち。
♪ "I Still Haven’t Found What I’m Looking For" (U2) /Playing For Change
ヨルダンの美しいコーラス隊、Prince Diabatéさんのコラ、François Causseさんのタイトなビートなどを味わいつつ、ここでのサプライズは、U2のこの曲をプロデュースしたDaniel Lanoisさんが自らスティール・ギターと歌を披露していることでしょう。
混迷の時代にも希望を失わない人びとを励ます永遠の名曲ですね。
今回はロック・クラシックを中心に取り上げましたが、シリーズではラテンの名曲や世界各地の民謡なども多く取り上げられています。
意外な人物が意外な曲の映像中に現れるので油断なりません。
ご興味がある方へ、プロジェクト公式YouTubeチャンネルを貼っておきます。
「Playing for Change」ウェブサイトはこちら。
最後に、プロジェクトを設立・運営している方々、参加されている音楽家の方々に感謝と敬意とエールを送ります。
top image : Playing for Change, Thank you for letting me borrow your wonderful work.