43歳、逃げ傷なし・3
怒涛のマッチングアプリ行脚
土日で5人に会うぐらい詰めて婚活ラッシュ
最大3つのマッチングアプリサービスを並行して使用し、合計50人と会った。中でも面白かった人とのエピソードを記していきたい。*悪意なし、ご本人バレのないように事実を少しズラしています
①レンズメーカーPM(大阪桐蔭ファン)
まじめ系アプリで会った人。生活圏が近く、うちの近所の焼き鳥屋で夕食をとる事にした。
第一印象は、おお野球やってたんだな、今年もウルトラマラソンに出るって話してたから、健康自慢優良児なんだな。
3つ上の、国内有名レンズメーカーのPM(プロダクトマーケティング)をしているとの事。私は仕事で、その会社の別事業体の人と面識があったので、◯◯さん知ってますか、先日展示会で話しました、など業界の話。
よくよくタスクを聞いていると、PMというよりプリセールスに寄ったロールの様子。我々は転職先候補として◯◯とか、◯◯があるよね等。
2時間、焼き鳥とビールを楽しんだが、8割は高校野球の話。残りの2割はお互いの会社の今後の事業展開について、言える範囲で語らう。
ダンテ武蔵くんに始まり、藤浪、森友哉、本塁打芸術家(ホームランアーティスト)のおかわり氏など、大阪桐蔭の歴代選手の話で盛り上がった。
私はその頃、根尾くん世代の打順とそれぞれのルーティーンのモノマネを家で練習していたので、店を出てから披露する。めちゃくちゃ似てる!と大爆笑をもらう。
青地、藤原、特に中川が完璧に出来た。
この人とはこの1セッションだけでした。
焼き鳥ごちそうさんでした。熱中症に気をつけて走れ。お達者で。
②ジュピター男(50代・子持ち)
また別の真面目系アプリで会った人。バツイチ。
プロフィールに「子供はいらない」と明記されていた為、会う事を逡巡した。しかし数の内であるし、ブラフの可能性あるし(何のために?)、会ってみないとわからん、という事でうちの近所で待ち合わせ。
仕事時間は相当自由が効くそうで、彼が昔通っていた喫茶店があったので、そこで会う。
小柄で身綺麗にしており、良識があって良い人物のようである。
学生時代マガジンハウスでアルバイトをしていた話など色々経て、「今の会社で自分がwebに載っている」との仰せ。
わっ!すっごーい!等の過剰リアクションの準備をしつつ(礼儀である)、指定されたキーワードで検索すると・・・、おわっ出てきた!
ありゃ!◯◯◯◯(超優秀な人しかいない少数精鋭外資コンサルティングファーム)の人なんですか…しかもパートナー…
聞けば、年収は1億円との事。嘘ではないなこりゃ。
納車されたばかりのスウェーデンの車に乗り、千葉の漁港までデートしたり、中野ブロードウェイを探索したり、ドイツでのトライアスロンの話、前妻さんがある日出ていった話、17歳のお嬢さん(とても素敵な名前だった)が株式投資を始めた話を聞いたりした。zoomでは一度お嬢さんにも挨拶させてもらった。(ご子息はオーストラリア留学中)
なんとなくあなたとはピンと来ない、との事でその人とは3回デートしたのみ。私は相手に経済力を殊更求めるタイプではないが、それでも年収1億円。流石に、のち数日は「1億円」そのワードの持つ巨大な引力に思考を引きずられた。
惑星で最も引力が大きいのは木星であるから、あだ名をジュピターにした。
平原綾香ver. でループ再生しているうちに、黒縁の大きすぎるメガネと共に記憶の彼方へ飛んでいった。ブラックホールの縁。アディオス。
③アホボン
このアホボンとは短期間付き合う事になる訳だが…
また別の真面目系アプリでは、一日50件ほどいいねが来るので、写真と職業だけで取捨選別するのが、連日就寝前のタスクになっていた。
毎日これやるの、ほんま大変やねん。
無視した中から、プレミアムメッセージ(おそらく追加料金を支払って、装飾付きの追いメッセージを送る)を書いてきてくれる人も数人いた。
その中の一人がアホボンである。
バツイチ。36歳。江戸川区在住。1200万。
何かのコンサート会場で、ステージを背にして撮ったプロフィール写真だった。KISS来日の時かな。
なんか色々書いてあったが、是非一度会いたい、という内容を様々な表現で連ねたような文章だった。とても頭がよいのか、アホなのか判断しかねる。或いは、何も言っていないのとさほど変わらない感じさえした。
そんなに言うんだったら会ってもいいが。と思い、かかと重心でコンタクト。
数回デートを重ねるが、毎回良い店に連れて行ってくれ、デートコースの下調べも完璧、隅田川で船に乗ったりもした。私の経歴や生き方について素晴らしいと感銘を受けている様子がある。肩の力を抜いて接してくれて大丈夫だと。人はそんなに完璧ではなく、自然な貴女でいてほしいと。
おお、ありがとう。小職、40歳無職やけどこんな事もあるんですね、って事で付き合う。ある時は恵比寿の地下にあるメデューサとか言うバブルの残り香を煮詰めたような店を予約してくれ、コース料理に舌鼓を打ち、私の両手を取り求愛のダンスを踊っていた。6,000万で買った新小岩のマンションに住んでいます、インテリアはモデルルームのをまるごと買ったけど、あなたの好きに変えてくれて良い、勉強を頑張られているのも(当時私は大学院生だった)、うちでしてくれたらいい。あなたをお支えしたい。毎日帰った時にあなたがいると思ったら、僕にとってこれ以上の幸せはない。との仰せ。
おお、ありがとうな。
ちなみにアホボンのお父さんは、そのまたお父さんが立ち上げた会社を経営しており、アホボンは次期社長である。聞いたことのない名前の大学を出ており、日本語を間違えて使っている時もあり、本は積んであるのみ、たまにライトな陰謀論を語ってきたりするので注意が必要であると感じた。
でもまあ、シジュウ過ぎの女を有難がってくれてお金を惜しまず遣ってくれて、こりゃ甘んじて受け入れんと女が廃りますわなとも思う。
お試し同棲をする事になる。
ある程度の日用品を持って、型落ちのレクサス(会社名義)で迎えに来たアホボンとハグをして、新小岩に向かう。
「小岩はアンダーグラウンドな街なので、貴女はびっくりしてしまうかもしれない」
確かに、多様な人種の人達が客引きをしていたり、夜中に酔っ払い達の奇声が聞こえたり、にぎやかな場所だと思った。
マグロか鮭かどちらが良いかなど言いながら近所のスーパーで夕食の買い物をした際、身綺麗なアラ還の女性と遭遇した。アホボンと親密そうに話している。「僕がよく通っていた、スナックのママなんです。辛い時に助けてもらいました。今度きちんと紹介します」
おお、スナック。全く知らない世界だが、ママさんはまともな人そうだし、きっと料理と客あしらいが上手なんだろう。(想像の域を出ないが、突出しで甘辛く炊いた煮物とか出してくれる感じ?)
一週間半を経た頃、仕事の付き合いでスナックに行ってから帰ります、とアホボンから連絡があった。どうぞどうぞ。私は勉強が大変だったので、夜中までMacに向かう日々だった。
その日は、他の常連客に貰ったと、様々な種類の薩摩揚を持って帰ってきた。めっちゃ美味しそう!なので次の日はそれらを入れた鍋にした。
その辺りから、仕事で遅くなりますの連絡が続いた。
週末には、爪を切ってシャワーを浴びてから出かけるようになった。
泥酔して帰宅、歯も磨かずベッドに潜り込んでくる日もあり、直前に食べたであろうチゲ鍋かなんかの匂いが部屋に充満して、気分が悪くなった。
臭えな。何だこいつは。
2週間が経った頃、帰宅が午前6時になった日があった。
何か失念したが私がアホボンに対し腹に据えかねる出来事があり、もう全て引き払って自分の家に帰ろうと思っていた。
時計を見ると電車がまだ動き始めておらず、外はアジア系、アフリカ系外国人達のゴールデンタイムになっているため治安状況を案じ、ソファに寝て始発の時間を待つ事にした。
少し経ってアホボンが帰宅した。
相当に痛飲した様子である。
すまんけどもう無理や。私、もう帰ります。
最後はわすれたが、お互いに誠実でない所があったように思う。
今までありがとうございました。サイチェン!(もう会うこともないぜ)
ちなみに、同棲を始めた時に、これから共に時を重ねていこうってな事で、私が好きなブランドの腕時計を貰った。値段調べないでね、と言われたが調べたら50万円だった。
別れた翌日にブランド品買取の店へ持ち込んだ。買取額は1万円だった。
しゃぶしゃぶ用肉を買うか、江戸川区医師会に寄付するか迷った。
エルメスが好きとか言っておけばよかったかな。
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