母なる海が よせておいてくれるもの
『よせておいたよ』
母なる海が言う。
『ありがとう、ここまでよせておいてくれて』
波打ち際に、まるでまっすぐに整列できない子どもたちのように、蛇行して、じっとしているそのコたち。
長旅、お疲れさま。よくたどり着いたね。
今がチャンスだ!今拾わなければ、また母なる海に帰っていってしまう。
滞在時間は、引き潮の時間のみ。
あまりの多さに、全ては拾えない。
わたしは、わたしの拾える分を拾う。
「ありがとね。ここまでたどり着いてくれて」
たいてい、たどり着けたコたちは、キャップが付いているコたち。
ぷかぷか浮いて、母の呼吸にのってたどり着けるのだ。
キャップの付いていないコたちは、ガブガブと水を飲み、深海へと沈んでいく。何億年も経ったら、また地球に戻っていくのかな?
あるがままを受け入れ、嘆かず、怖がらず、今日も浜辺に一人、自分が出来ることをする。
母なる海が、全てを受け入れているように。
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