ジェンダーは、男性のグリーフとそのケアにも影響していると思います(続き)
2か月近く前にこちらの記事を note に書きました
その note の終わりに触れた、奥さまを亡くし、ご自身と遺されたお子さん達のために、グリーフの場を求めた男性のお話を今回はご紹介します
その方とはサッカーのイングランド元代表リオファーディナンドさんです
海外のサッカーや国際大会をチェックされている方なら、名前を知らない方はいませんよね。そのリオ・ファーディナンドさんが奥さまを亡くされた後の姿を描いたドキュメンタリ―番組が、2017年に英国の BBC で放送されています
番組タイトルの”Being Mum and Dad”。日本語に訳すとしたら『母、そして父になる』といったところでしょうか。今回この記事を書くに当たり、番組のサイトを観てびっくりしました。未だに再放送が続いているのですね。この番組は放送時に英国でもとても話題となり、この年のドキュメンタリー番組のアワードを受賞しました
どうしてここま話題になったのかというと、それはやはり、この番組が普段は語られることの少ない『男性』のグリーフとそのケアを正面から取り上げたこと。その対象が、リオさんという、英国内では知らない人がいないという方が番組内で奥さまとの死別への想いを語っていたからでしょう
この中でリオさんは伴侶を亡くした男性だけが集まる場に自ら参加します。そこで他の参加者の方々と一緒に料理を手作りし、語り、共に過ごす姿が描かれています。こうした映像を通じ、男性にもグリーフケアが必要なこと。それは父や夫としてだけでなく、一人の男性としてそうした場や空間が必要であることが伝わってくる内容でした
これはグリーフとそのケアが時に必要となり、大切なものであるということと同時に。それは男性にとっても必要なものだということが世間に対して伝わる、貴重なきっかけでもあったと思います
またこの番組の中では、遺されたお子さん達のために親御さんを亡くした子どもを支援する施設も訊ねられ、お子さんに対してどういうケアがあり。必要であるかも知っていく姿が描かれています。グリーフとそのケアが英国内でどのように提供されているか。それを知る上でも貴重な内容となっていました
この番組、日本でも放送をしてくれないかなと思っているのですが、残念ながらまだそれは叶っていません。それはともかく、大切な人を亡くしたら男性でも必要な時は助けを求めていい。弱音を吐いたって、泣いたっていい。ただそのためには、それが安心して行える場が揃っていないといけない
でも男性はなかなかそのことを口に出来ないし。表現もし辛い…
親であれば尚のこと、子どものためという理由でそうした想いを封印してしまいがち。男性だってそうしたものを無理に抑え込まなくてもいいんだということが、リオ・ファーディナンドさんの姿を通じて、普段はグリーフケアに関心の無い方々にも伝わったはずです
なおこの番組、日本からは視聴が出来ません。本当にいい番組なので、ぜひぜひ、日本でも放送をして欲しいなぁと思っています。。