#02 てんかん老犬とのくらし。
16歳の老チワワ・つみれは2020年の夏ごろからてんかんを頻発し、一時は一日に何度も発作を起こすまでとなってしまった。経験のある人は良くわかるであろう、発作時の絶望的な気持ち。自分は何も出来ず、ただ激しく震えながら泡を吹き、硬直が収まるのを見守るしかない虚しさ。何とも憎むべき病。そしてその後は獣医師から発作止めの薬を多めに投与され、いまは一日たりとも目が離せない生活となっている。
薬を飲み始めてしばらく落ち着いたのでこれで一安心と思った11月、また発作が起き、その後は一日おきに出るようになってしまった。薬は欠かさず飲ませ続けていたので困り果てて獣医に相談すると、処方された抗てんかん薬は一般に広く使われていて処方量も充分なので「もうこれ以上の対処は難しい」と告げられ、先生もさじを投げる段階になったのか、と感じた。
てんかんは発作を起こすたびに「脳が焼ける」と云われ、少しづつできることが減っていってしまうらしく、そんな哀しいことはどうしても避けたい。でももうこれでは西洋医学には頼れない。そして、またいつ発作が起きるかわからない不安と焦りから何か良策はないかと民間療法のサプリやバッチフラワーレメディなど買い寄せて飲ませたり塗ったり。でも結局また発作は起きてしまった。
当のつみれも、発作が続くと平時も落ち着きがなくなり夜も深く眠らない。夜中にうろうろと歩き回るのでそばで寝ていても気になって私も睡眠不足になり、犬も私も心身の疲労がピークに達し掛けていた。
しかしそんなある日、たまたま「ペット鍼灸」というものをwebで見かけ、てんかんに効くツボがあるというのを発見した。もうこうなったら藁にもすがる気持ちで「身柱」という、犬の肩甲骨の間にあるツボを探してそこを指圧してみることに。
実際に触り始めると、つみれは身体を任せるように脱力し始め、比較的心地よさそうにしている。お?これでいいのかな?と半信半疑ながらもそのまま、その周囲をさすったり、ツボを探ったりと数分間マッサージしてみた。それを一日三回、ご飯のあとにするようにしたところ、最初に開始したその日から今日までもうすぐ三週目、奇跡的に発作は止まっている。先日獣医師に診せてこの話をしたところ「それはスゴイですね」と感心された。東洋医学の威力に恐れ入っている今日この頃である。
最近は他のツボを探すのも面白くなってきて、てんかん地雷源の脳がある頭の周辺もいろいろ触るようにしているが、いいところに当たるとつみれが面白いように小さく唸ったり、ため息をついたりする。
人間だって歳を取ればあちこち痛くなったり凝ったりするものだし、16年間生きてきた犬ならそれなりにあちこちくたびれて来るはず。薬で治る治らないという年代を過ぎてきた高齢犬にはいかに身体をいたわり、緩和させるかが大切になってくることをつみれが身をもって教えてくれた。
チワワのつみれは肩甲骨の間が狭く、身柱のツボにアクセスするにも3ミリ程度の隙間しかないがそこに小柄な私の小指が上手いこと入ったりしてこれもある意味お互い運が良かったかもしれない。そして比較的私はツボを探し当てるのが得意なようなので、素人でも行えるてい鍼や棒灸も買い揃え、この先もこのルーティンを続けて行こうかと思う。いつの日か、つみれをあっちの世界にいるパイセン犬・ちくわの元に無事送り届けるその時まで。
そして今回この事でとても救われた私は、他にも悩める人と犬たちの助けになれるよう、このケアの技術をちゃんと学んでみようと考え始めている。本当に、犬は色々教えてくれる。
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Grief care Tech株式会社は「愛する存在を偲ぶ、あたらしいかたち」をご提案する会社として2020年8月に設立されました。私も1ユーザーとして当事者の気持ちに寄り添いながら、ペットロスからの立ち直りをサポートするものづくりを進めていきます。他のメンバーの投稿もぜひご覧ください!
https://note.com/k_griefcaretech
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