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絵本「くまとやまねこ」 グリーフワークの一助になる絵本

この絵本を、書店で初めて手にしたとき、暗くて直ぐに本棚に戻しました。
内容もよく見ずに気分と合わなかったのだと思います。

そして先月、ブックサンタの絵本を探していた時に、この絵本に再開。
「こんな物語だったのか」
そりゃ、暗いトーンだよね。でも、抱きしめたくなるグリーフの絵本だったため、購入。


あらすじ

ある朝、熊と仲良しだった小鳥が死んでしまいました。ずっと一緒にいるものだと思っていたのに。
哀しくて、小鳥の遺体を持ち歩く熊に、森のみんなは、とまどい、
「辛いだろうけど、小鳥のことは忘れなよ。」
と、声をかけます。
すると、熊は家に引きこもってしまいます。
しばらくして…熊は久しぶりに外出すると、見知らぬ山猫に出逢います。そこで、はじめて小鳥への思いに寄り添った言葉をかけてもらうのでした。
そこから、熊は小鳥との思い出を思い出し…
やっと一歩踏み出せる…

グリーフを学ぶ

この絵本では、グリーフを抱く人に掛けてはならない言葉や、気持ちに寄り添うことなど、グリーフ過程とサポートについてが描かれています。
森のみんなも、熊の事を心配して声をかけてくれてるのだけど…忘れなよ…なんて、残酷な言葉でしょう。
忘れたくない
忘れてしまうのでは無いか…と思うと怖い
忘れるはずがない
忘れる必要はない

悲しみに蓋をする必要はない。
と言うか、蓋をさせてはいけないのです。

あまりにも辛い現実からは、目を背けたいですし、囚われ続けている姿をみると、どうしていいか分からず、周りも困ってしまうのかもしれませんね。

悲しみ尽くして、やっと外に出た熊。山猫は、自分の気持ちをわかってくれる。安心できる場所。そこで、やっと悲しみに埋め尽くされた記憶を、楽しい、幸せだった思い出に塗り替えることが出来ました。

弟の話

先月末、私の弟は突然、最愛の妻を亡くしました。長年、病気の彼女を支え続けたので、悔いはないようですが、寂しくて仕方ない。それは、当たり前です。
今はまだ、彼女の死と向かい合っていたい。まだまだ、思い出にはしたく無い。彼なりに、別れの儀式をしているようです。

そして、彼女の居ない人生を歩くために、またバンドを始めることにしたそうです。

小鳥を亡くした熊と重なってしまいました。

グリーフを抱える人の気持ちは、本人にしか分かりません。しかし、わかろうとする事は出来るし、辛い思いをしているんだと、感じることはできますよね。

話を聴くことはできるよ。

この一言で、救われる人もいます。

もし、周りに言ってくれる人がいなくても、この絵本で、少しでも気持ちが楽になると良いな.と、思います。


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