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電力会社の課題解決事例を解説!グリッド CTO 梅田が Gurobi Days 2025 に登壇

2024 年 2 月 6 日、The Okura Tokyo にて開催された Gurobi Days 2025 に、グリッドの CTO/執行役員 梅田龍介が登壇しました。
梅田は、「ビジネスインパクトをもたらす最適化アプローチ」と題した講演にて、最適化システム開発に必要なスキルや、電力会社における事例について発表しました。
本記事では、本講演の内容をレポートいたします。

梅田講演「ビジネスインパクトをもたらす最適化アプローチ」


会社紹介

まず初めに、グリッドの方針として、「利益やコスト削減など、金銭に換算できる具体的な経済効果が出るシステムの開発にこだわっている」ことを話しました。
そして、そのようなシステムを開発するために必要になる要素として、ビジネス力とデータサイエンス力に分解し、それぞれについて説明しました。

ビジネス力

まず、ビジネス力とは、「背景を理解した上で課題を整理し、解決する力」のことです。
お客様が求めるシステムを正しく理解し、それを設計し形にするには、お客様の業務に関する知識が必要です。
お客様の業務理解とドメイン知識がビジネス力の源であり、ビジネス力を高める方法として、以下の二つを挙げました。

1 .出向する
お客様の現場で業務に従事することで、お客様の業務を深く理解する。

2 .業界出身者を採用する
お客様の業界出身で、現場の業務を理解している方を採用する。グリッドでは、AI 技術や最適化技術は後から身につけることができると考え、業務知識・ノウハウを有している方を採用した上で、入社後の教育を通じてAI 技術や最適化技術を習得してもらっています。

データサイエンス力

次に、データサイエンス力について、「情報処理、人工知能、統計学など、情報学系の知識を理解し活用する力」が重要であると説明しました。
データサイエンス力を高める方法として、梅田は以下の四つを挙げました。

1 .さまざまな分野の知見を併せ持つ
グリッドには、数理最適化エンジニアの他に、機械学習や量子分野の知見を持つ、さまざまなエンジニアが在籍しています。
数理最適化の計算をする時に、機械学習や量子研究の知見や数式の書き方を利用すれば、相乗効果が得られると梅田は語ります。

2 .学会への参加・学術関係者との連携
グリッドは日本オペレーションズ・リサーチ学会や informs(アメリカで開催されるオペレーションズ・リサーチ学会)など、国内・国外の学会に参加し、知見を蓄えています。
また、数理最適化の研究で有名な大阪大学の梅谷教授とアドバイザリー契約を結び、解法についてのレビューをいただいています。

3. リカレント教育
グリッドには社員の学費を補助する制度があり、大学通学中の社員が複数名います。梅田自身、コンピュータサイエンス修士課程の学生としてジョージア工科大学にオンライン通学中です。
大学では、仕事で感じた実務上の課題を体系的に勉強し直すとともに、幅広い分野の受講によって知見を広げ、新たな知識と手法を学んで業務に還元することができます。

4. 社内勉強会
グリッドでは社内勉強会が 10〜20 ほど開催されており、社員が自主的に勉強しています。自ら学び、自力を上げていくカルチャーが出来ています。

ビジネス/データサイエンス力の両方があるからこそ解ける最適化問題

ビジネス力とデータサイエンス力についてグリッドの取り組みを紹介した後、その活用例として、梅田は電力会社とのプロジェクトについて取り上げました。
電力会社の発電機には、稼働時に守らなければならない様々なルール(制約条件)があります。
完全に冷え切っているタービンを全力で回転させるまでには 10 時間かかることもあります。
ある発電機を稼働させると、その間他の発電機を動かせなくなることもあります。
このように条件が複雑な問題を解く場合、ほぼ確実に「計算時間がとんでもなく長い」という問題にぶつかります。

この問題を解決する時に、ビジネス力とデータサイエンス力が必要になります。
計算時間は、大きな問題を一度に解くのではなく、小さな問題ごとに分けて解くことで短くすることが可能です。
問題の分割時に必要なのがビジネス力です。というのも、計算の精度を損なわずに分割するには、制約条件間の関係を理解している必要があり、その前提として業務を深く理解していなければなりません。
また、分割方法を見つけたあと、計算時間が本当に短くなっているのか確認するには、データサイエンス力が必要です。問題を分割しても、計算時間が短くなっていなければ意味がありません。
このように、現実の課題を解決するには、ビジネス力とデータサイエンス力のどちらか片方ではなく、両方を併せ持っていることが重要です、と梅田は述べました。

GurobiとGRID

最後に、梅田は、数理最適化ソルバーGurobi の利点として、以下の 3 つを挙げました。

1. 一からアルゴリズムを書いていくよりも、開発速度が速い
2. 数式の表現力が高く、多少要件が変わっても大枠を変えずに対応できることが比較的多い
3. 現状の解が、理論的な限界値に対してどの程度の精度なのかが分かる

要件定義の段階ではスピード感が大切なので、ソルバーを利用することで開発を迅速に進めて、成果物をすぐに顧客に提示できるようになることの価値はとても大きい、と考えています。

結び

講演後の質疑応答では、要件定義時に現場に行くことへのお客様の反応、言語化されていないお客様の暗黙知の引き出し方など、さまざまな質問が寄せられ、実際の開発プロセス対する参加者の皆様の関心の高さが伺えました。

以上、Gurobi Days 2025 で行われた梅田の講演レポートでした。

グリッドは、今後もビジネス力とデータサイエンス力を兼ね備えた人材を育成し、数理最適化技術を用いた社会問題の解決に邁進して参ります。

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