【折々のギフト 令和6年6月号】カタログギフトの展望
セレクト(チョイス・選べる)ギフトはこの50年で進化し、定着した。
戦後、日本の百貨店は大きな変動を経た。
昭和28年、GHQの解除となった新宿伊勢丹を例にとってみると、当初は生活用品と食料品が中心となり自家需要商品を売った。その後、衣食住の顧客ニーズをカバーし、各百貨店がしのぎを削って特色を出した。
昭和40年代になると、衣料品(アパレル)が台頭し、食と住は儀礼ギフトがピークを迎えた。
特にギフトは百貨店の大きな販売戦略になった。
そこで昭和50年代に登場したのが、セレクト(チョイス・選べる)ギフトである。
十人十色と言われた時代に適したのが、貰い手が複数の商品から選べるという手段の拡大である。
そもそもは景品やブルーチップのような交換商品が戦後の消費を牽引していた。
パチンコ店の景品や商店街のスタンプが想像しやすい。要は交換ポイント(金額相当)を複数の商品から選べる手段である。日本人には受け入れやすい土壌があった。
カタログの充実がセレクト(チョイス・選べる)ギフトをより定着させることになった。
贈り手は多用途なカタログギフトを選べ、貰い手は多くの商品(アイテム)数から気に入ったものを選べる…双方良しである。
しかしながら、セレクト(チョイス・選べる)ギフトは次のステージに入った。
先ずは、紙カタログに対する評価である。
ここでは結論を述べるのでは無く、課題を列挙して読者の判断に委ねたい。
紙カタログの課題
膨大な紙の消費。あらかじめ予測で制作するので残本の山。非SDGs。
掲載商品の価値と価格。仕入コストの上昇で商品の魅力低下の懸念。
従来的な価格設定。50年間変わらぬギフトの価格帯。
システム手数料。名目上で価格に付加することは時代遅れ。
受注体制。電話やFAXでの受注及びコールセンター業務のコスト高。
紙カタログに対して出現してきたのがIT(Web)での販売・受注である。
ここでも課題を列挙して読者に判断を委ねる。
IT(Web)カタログの課題
カードやQRコードで直接にウェブ対応。ギフト市場のメインであるシニア層の困惑。
新規事業者の参入障壁が低い。商品の価値と価格の担保がされるか?
柔軟な価格設定。一番の強みとなるところだが、定着(顧客の支持)が出来るか?
ロジの不安。物流センターなど基地が無いと「ギフト」のコントロールが可能か?
退蔵益の管理。商品交換されないまま失効した利益の管理が出来るか?
退蔵益(失効益)はカタログギフトビジネスの伏魔殿と言ってもよい。大手のカタログギフト制作会社が乗り越えた壁である。
より交換率の高い商品を提供することや、貰い手の商品交換を促進する努力を続けてきた。新規事業者が増えることで、顧客のセレクト(チョイス・選べる)ギフトへの不信と失望が起きないことを切願する。
贈り物相談室は、セレクト(チョイス・選べる)ギフトの未来を見守ります。
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