ギフトはこんなに大きなマーケットなのに本も資料も少ない不思議
ギフト市場の本当の数字はとらえ切れるか?
永年ギフト関連のビジネスに携わってきましたが、ギフト関連の本や資料が少ないのに驚きます。たまに本屋さんに行きますが、本にも流行があるらしく、同じようなタイトルの本ばかりが目につきます。ギフトの市場は10兆円を超えているにも関わらず、関連する本は全くと言って良いほど見当たりません。
ギフトに関する実務家はいますが、専門に研究対象とする学者はいないのです。大学に専攻学部、または、せめて学科があっても良さそうなものです。ギフトに関するデータは、当研究所が提携している矢野経済研究所の「ギフト市場白書」が毎年発行されているくらいです。何しろギフトは(最終)末端価格がゼロですから、需要のデータが取りにくいのです。
ギフト需要が売上の半分を占めていると思われるデパートでも、購入された商品がギフト需要であるかどうか、確かな数字はつかめていないようです。
お礼やご挨拶、謝罪などで相手のもとを訪問する際、「菓子折りを持って」というのがマナーとして定着しているくらいですから、お菓子店でもギフトの需要は多いはずです。しかし、ギフトとしての数字は正確には捉えられていません。
何がギフトと言えるのか?
どんな店の商品もギフトになりますが、一方でギフト専門店でも一部自家需要は発生することがあります。(最近はお中元やお歳暮のギフトセンターでも「ご自宅用」商品が販売されていて、ギフトセンターの売上に計上されているようです)
法人や団体も記念品やPR用品などで大量のギフトを配っています。
ギフトはモノだけではありません。日本では結婚式やお葬式の際に現金を包むことが多いですが、これもギフトと言えるでしょう。そのほか商品券、ビール券、図書券などの交換券も100%ギフトですが、観劇やスポーツのチケットや食事券、旅行などもギフトとなってきました。「おもてなし」も広い意味ではギフトになるのではないでしょうか。
「袖の下」も贈賄というくらいですから贈り物に違いありませんが、これは一種の取引になるのでギフトと捉えたくない気がします。
ギフトの研究を通して日本を元気に!
昔ある先輩がギフトは「好意媒体」だと話されていました。だから贈る人の好意を伝えるものであり、下心ではなく、「真心」を包んだものが「ギフト」だと思います。
人と人の交わりのあるところにギフトがあります。特に日本には贈答の機会が多く、絶えずどこかで贈り合い、また受け取り合う特有のギフト文化があります。
だから「全貌」は正確にはつかみきれないし、研究も進まないのでしょう。
私たちギフト研究所は、この日本特有のギフトの世界を研究し、未来のギフトがどうなっていくのかを探求していきます。
そして「ギフトで日本を元気に!」できればと願っています。
一般社団法人ギフト研究所
代表理事 山田晴久