【解説】第28話 10匹の博士にゃんこさん達のその後
まとめ本に収録した各トピックの解説の全文を掲載
最後はトピックではなく博士にゃんこさん達のその後を描きました。トピックの後半でそれぞれの個別事情を描きましたが、ここでは、色々な経験を経て次のステップに進む物語にしました。
Hにゃんは嫌な思いもしましたが研究実績を着実に積み重ねてPIになりました。Cにゃんは企業就職して充実した生活を送っているようです。Gにゃんも確実に自分の研究を進めています。不遇だったEにゃんもチャンスを手に入れました。
このトピックで描写しておきたかったはEにゃん、Bにゃんの状況です。
現在、35歳以下の若手を積極的に採用すると良いという風潮があります(文科省が主導しています)。しかし、30代前半で教員として採用し、5~10年任期の後は再任無しという状況が多いです。つまり、Bにゃんの採用が終わった後、次の年代のEにゃんを採用し、Eにゃんが終わったらまた次の世代を採用しているのです。任期が終わった後は受け皿がないためアカデミアに留まることが難しい事態が多く起こっています。
もう一つ描きたかったことはBにゃんが科研費を返還してしまったという話です。この話は女性研究者でよく耳にします。私自身も科研費の応募資格を失って数年間研究費に応募できなくなったことがあります。
研究費を獲得することは教員採用の際にとても重要なポイントになります。立場によって応募資格がなくなることは不利です。かつて応募者のほとんどが教員だった時代に作られた制度でしょうか?時代に合わせて制度が改定されると良いなと思います。
Iにゃんの物語は複雑です。ミャオ先生との結婚、不妊治療、テクニシャンとしての就業、ミャオ先生の移動、妊娠・子育て。ノンフィクションとは言え、このような複雑な例を漫画にして良いものかどうか迷い、連載中は描きませんでした。このIにゃんの物語ですが、第29話として書き下ろしで収録しました。