コロナウイルス連作短編その170「太陽は核の光」
扇真坂は机を見つめ、ノートの端に絵を書いている。だが実際視線を向けているのはノートにではない、尾根槇緒という同級生の方にだ。
「今日はなんか中性的って感じだねえ」
友人である少女がそう言い、槇緒はそれに応えるように目を細める。
真坂はファッションについてほとんど理解しない、正確に言うならば脳髄がそれを理解すること、もしくは考えること自体を拒否している。服に対する網膜の解像度が、脳髄によって強制的に荒くダウングレードされている。それでも今槇緒の制服を見るならば確かに中性的