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指にできたビックリマークにびっくりさせられたハナシ②

年が明けて2月になった。

発見当初は薄かった小指のビックリマークは真っ黒になり、少しツヤツヤしたものに変わっていたが、痛みも痒みも無いので、全然気にしなくなっていた。

それよりも、ワキの匂いの方が私にとって重要だった。

時々白っぽい膿が出たり、出血したり。

匂いだけでなく、服が膿で汚れてしまうこともあり、女子大生だった私はそのうち友達に指摘されるのではないかと、ハラハラしていた。

これはもう、病院に行こう!と、自分の症状をネットで調べた結果、ワキの匂いと膿は、『粉瘤(ふんりゅう)』という、良性腫瘍が原因の可能性があり、皮膚科を受診して治療できると知った私は、母に相談することにした。

この2年前、私は不注意で腰椎圧迫骨折という、重傷を負い、大学病院の整形外科にずっと通院していたので、次の診察の時に主治医に皮膚科受診を希望することを伝えようと、母と決めた時だった。

母「ねぇ、夏穂。右手の小指のホクロはどうなったの?」
私「これ?」

母に右手のひらを差し出し、首を傾げる私。

母「なんか、前よりも大きくなってるよね?ついでにそれも診てもらおうよ。もしかしたら皮膚ガンかもしれないし」
私「皮膚ガン~?」

母から大げさな病名が出てきたことに、私は「まっさか~!」と笑った。

確かに私は色白な方だけど、皮膚ガンは外国の白人がなるものだと思い込んでたし、しかも足の裏にできることが多いって聞くのに、手のひらなんかにできるわけが~!と、もはやフラグでしかないようなことを考えていた。

そして、数日後――。

整形外科を受診した私は、ケガの具合はもう完全に大丈夫と主治医に言われた後、皮膚科に行きたいことを告げ、先生に「今までありがとうございました。」とお礼を言って、皮膚科の受付を済ませ、母と共にベンチに座っていた。

呼ばれて診察室へ二人で入ると、チャキチャキとしたおばちゃんドクターが、私のワキを見て、「あぁ、粉瘤だね!」と明るく言った。

私「これ、日帰り手術ですよね?しこりが破裂するとめちゃ痛いってネットで見たんで、取ってもらいたくて~」
先生「いや、これもう破裂してるよ!だから膿出てるんだよ」
私「はっ?」

どうやら、知らぬ間にしこりは破裂していたらしい。
激痛を感じることがなくてよかった…。

そのおばちゃんドクター、I先生は形成外科の若い女の先生を隣の部屋から呼ぶと、「じゃあ、手術の準備をしようか~!」と、言った。

私「あ、先生すみません!実は粉瘤の他にもう一つ気になるものが…」

私はそう言って、右手の小指のビックリマークを見せた。

私「これ、最初は鉛筆の芯がついたくらいの薄い色だったんですけど、なんかだんだんマジックで書いたみたいな濃さになって…。なんでしょうね~?」

そのビックリマークを見た途端、I先生の表情が険しくなった。

I「ややっ!待ってこれは~……」

先生は、何かを言いかけて口を閉ざした。

I「夏穂さん、ちょっとこれカメラで撮らせてね」

I先生はそう言って、カメラのレンズにジェルを塗り、私の指に押し付けながら撮影した。

I「……あのですね、粉瘤はまた今度にしましょう。」
私「えっ?」
I「先にこのホクロを病理検査に出したいので、部分手術で表面を削り取ります
私「は?」

け、削り取る……!?なんか、めっちゃ痛そうなんだけど…

I「M先生、これ取れる?」

 そう言って、そばに立っていたM先生とI先生の間で話が進められ、「学校いつ休める?できれば早めで!」と、I先生が次の診察日を決めようとしていた。

私「あ、今日取るんじゃないんですね?」
I「うん、また今度。それで?いつ来れそう?」

ニコニコ笑顔はそのままに、I先生が急かすように私に聞いた。

結局、この日は診察だけで終わり、後日私は軽く見ていたビックリマークの表面を削り取る手術をすることになったのだった。

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夏穂
オリジナル創作の本やグッズを作る資金にしたいと思います。 あと、時々、元気を充電するために美味しいもの食べます(˘ω˘)