見出し画像

SnowMan初ライブ体験記@札幌ドーム20241109


推しに会いに行った。推しは深澤辰哉、ふっかさんだ。いや、箱推しなので、SnowManに会いに行ったのだ。
旧◯⚪︎ニーズを推すことに後ろめたさはある。彼らの中に脈々と受け継がれている◯⚪︎ニーイズム、事務所愛に相容れない感情は持ち合わせている。

そもそもの始まりは、一昨年の紅白歌合戦。当時のドラマを入り口に、めめ(目黒蓮)はSnowManの一員で、そのグループにはこんなにドラマチックないきさつがあって…という情報を長女が持ち込んできた。最初は涼しい目で見ていたが、知れば知るほど人間的というか。辛酸をなめ、地道にやってきた苦労人の集まりということを知った。

ファンクラブに家族全員入り、ライブやイベントのたびに申し込むも、落選が続く。何度もライブに行ける人、一人で名義を何人分も登録しているらしき人、転売サイトやSNSで融通を求める人…。うらやましいを通り越して、うらめしかった。

今回、5大ドームツアーが発表された時、日程上でも場所的にも、なぜか直感で「札幌」に申し込もう!と思った。

最も乗り気で、最も準備を怠らない夫は、張り切って飛行機やホテルを早くから押さえていた。それでも気の早いファンであふれ、予約はなかなか取れず。何とか小樽の宿が取れたという。

どうせ当たるわけがないのに、と冷笑していた。そういうところだけ前向きで強気な夫は、落選することを想定していない。不思議だ。

春休みに二女と東京に旅行した。それも落選したのだが、せめて同じ場所に行きたい、と、「GALA」という、ふっかさん、だてさん、ひーくんの舞台が上演されている新橋演舞場を訪れた。そこには、上演時間でもないのにファンと見られる人たちが複数いた。

この人たちも同じ穴の狢、残念ながら落選した人たちなのかと思い、共感したい私は近くにいた女性に思い切って話しかけた。話しかけたくなるような、優しい雰囲気を醸し出すすてきなお姉さんだった。

お姉さんは別の日に当選していたが、この日は下見に来ていた。うらやむ私たちにお姉さんは寄り添ってくれた。
お姉さんもずっと当たらなかった。やっと当たった。今年は絶対当たりますよ!と私たちに声をかけてくれた。

ほんと?そんなことあるかな…今まで何回も落選して、当たる気がしない。でも、お姉さんは確信したかのような口ぶりだった。
半信半疑だが、何となく心の拠り所にしていた。

そんな中で、なんと、今回のライブに、私の名義だけ当選したのだ!すぐにお姉さんのことを思った。お姉さんの言う通りになった。お姉さんありがとう。あの日出会ったひーくん担のお姉さんにありがとうを伝えたい。

推しへの愛が強い二女と同行することにした。夫も長女もライブには行けないがみんなで行動を共にすることにした。いかにも仲の良い家族に見えるが、そうとも限らない。ここまで来るには何度もいざこざがあった。行けない人と行ける人がいるのは揉め事の元だ。

いくつかの修羅場を乗り越えて、当日を迎えた。札幌までの長い長い道のりを行く。飛行機の乗務員も「ライブを楽しんできてください」と、私たちのことを知り尽くしている。

推しのために朝からメンカラ(メンバーカラー)の紫色の服を着込む。紫色は元々好きな色なので、何枚か持ち合わせていた。飛行機の中には、緑、赤、水色…
もしかしたらメンカラを意識した服装?という人がたくさん乗っていた。よく見ると、グッズを持ち、うちわの柄が手さげ袋からのぞいている。あの人も、この人も、みんなオシャレをして推しに、SnowManに会いに行くんだ…。その中で私は最年長かしらん。10代、20-30代の若い女性ばかりの中、集団から飛び出している。恥ずかしい…のか。


何とか取れた飛行機はあまり時間に余裕がなく、札幌ドームまでの道のりはよくわからない。レンタカーか、タクシーか、一体どのくらいの時間で着くのか。一度は行ったことがあるが、想像もつかない。方向音痴なのが痛い。Uberでも捕まらないタクシーより、回り道のレンタカーを手配した別行動の夫と長女に連れて行ってもらうのが結局一番だった。Googleさんのナビが、混まない道を教えてくれた。途中、言えないような危ない間違いをしたが、何とかまずまず間に合いそうな時間にドームの近くで降車した。そこから、予約していたグッズショップ、その後会場まで、歩いて歩いて、さらに歩いて、途中道を間違えてまた歩いて…。

そう、何もかもが暗中模索なのだ。何もかもが初めてなのだ。

グッズショップで「深澤さん、深澤さん」と確認され、照れ臭い。深澤さんの担当はそう多くなさそうだからだ。

右往左往して、わずかに灯油の臭いのする会場内へ。発行されたチケットは、スタンドの上の上の方。通路をやっと見つけるが、席にたどり着くのも至難の業。通路端っこのお姉さんに
「この席はどこですか?」
と聞く。お姉さんは少し迷惑そうに
「え?わからない。
けど、あそこが空いてるからあれでは?」と教えてくれた。人が既に座った席の前の荷物をまたぎまたぎ、やっとたどり着いた。
迷惑そう…に感じただけで、実際そうだったのかはわからない。とにかく我が身を引け目に感じてしまう。

自分はこの集団の中で浮いている。若い集団の中で一人歳の離れた汚いおばさんが意気揚々メンカラを着込んで鈍った頭と身体で病弱な娘を守ろうと必死になり、ライブの席までやっとたどり着いた。

みんなでペンライトの使用方法の打ち合わせをしているのには間に合わなかった。だから、本番では何テンポも遅れて、みんなとは違う色が灯りつづけた。

ペンライトの操作方法はおぼつかないし、何より老眼でボタンが見えにくい。隣にいる二女に聞くが、二女もおばさんのまどろこしさにイライラしている。情けない。私はここにいるには恥ずかしい人間だ。

それでも、推しは優しかった。優しすぎた。スタンドの上の上から見えるのは小さな彼ら。オーロラビジョンの画面越しに歌詞付きで彼らを見る。画面と実物探しで目が忙しい。あぁ、オペラグラスを持ってくればよかったのか、と隣の人のそれを見て思う。

ライブのDVDを見て、近くを人力トロッコが通りうちわをかざして推しにアピールするシーンを見ていたものだから、自分の近くを推しが通ればどんなにうれしいことだろうと想像を膨らませていた。

彼らはなるべく多くの人になるべく自分たちの姿を見てもらおうとアリーナ内のステージを走る。トロッコや気球に乗る。推しは自分たちのエリアを通り過ぎて顔をあちらに向けている。

めめやあべちゃんが上の方まで届くように、と体全体を使って大きく手を振ってくれている。いわふかが同じ気球に乗っている。

この人たちは、自分が見られる存在だと知り尽くして、自分を見せることで喜ばれるなら、ととことんカッコつけてくれる。どこまでも献身的に見てください、とさらけ出してくれる。

推しは今回はいつも私たちの前(というか下)を通過して、あっちの方へ行くパターンだった。向こうを向いて手を振っている。

推しは尊い。箱推しだからみんな尊い。小さくしか見えないが、スクリーンと実物を追うのは至難の業だが、そこに、確かに今そこに、空間と時を共にして生きて、まさに「ライブ」している。

ダンスの様子もわかる。テレビは正面からの様子を見ることがほとんどだが、席からの角度では、前後の位置移動がよくわかる。

普段知ることのないことを知る。曲に合わせて見よう見まねでペンライトを振る。残念ながら自作の手作りうちわは出すだけ恥ずかしく、推しの目に入るはずもなく無力に空を切っていた。途中から出すのをやめた。

それでも彼らは言う。ここに、このステージに立てているのはみんな(ファン)のおかげ。僕らに力になれることがあるなら。一人じゃないよ。
そんな風に私たちを励ましてくれるのだ。ライブでそれを聴いた時、マスクの下は涙由来の鼻水でいっぱいになった。

もちろん、うごめくビジネス。一日で数十億単位の金が動くのでは、と素人は想像する。彼ら9人は清廉潔白で彼女もいなくておそらくトイレにも行かないはずだ。…いや、そんなことはないのも十分想像する。
それでも、みんなのおかげでここに立てているという彼らの言葉は、十分信じるに足りることだと思うのだ。

それにしても、しょっぴー、歌うまかったなぁ。◯⚪︎ニーズなのに、歌がうまいっておかしくない?彼らは◯⚪︎ニーズっぽい顔ではないし、歌もダンスも完璧だ。あとから加入しためめ、こうじ、ラウも頑張ったんだろうな。
グループ自体に努力と悲哀が充満しているから人間ドラマとして応援してしまう。


あぁ、記憶が経時的に薄れていく。というか、そもそもその場にいたのに緊張から流れが頭に入ってこない。歳のせいか。

それでも、その場を生の彼らと共有できた喜びの気持ちは消えない。完全にaddicted
これはもう、中毒である。何年も抽選に応募し続けてやっと当選しただけなのに、これからは1年に一度は行けると錯覚している。どうしても行きたい。何としてでも。

接着剤の塗り具合のせいかボロボロにそり返った手作りうちわ。「母娘深担」と夜な夜なカッターで切り貼りしたうちわ。そんなものでも、このうちわをふっかさんに見てもらうためにまた行きたい、と泣きたくなるようなことを言ってくれる。まだ子どもだ。優しい。

帰りの飛行機で、明らかに舘様ファンと思しき同年代の女性を見かけた。赤い服に赤い腕時計、スマホカバーは赤、舘様グッズも持たれている。

少しだけ、ホッとした自分がいる。あぁ、私だけじゃないんだ。おばさんファン。若い人から見たら違和感だらけだろうか。待てよ。そういえば、若い男性が2、3人で記念写真を撮っているのをライブ会場で見かけたっけ。泊まったホテルでは記念パーカーを着たカップルを見かけた。

集団というのは外れるためにある。分散して集団だ。開き直りではあるが、偏差の大きい個体として、これからもSnowManのファンをさせていただこう(ひーくん風言い方)。

いいなと思ったら応援しよう!