バレなければいい（多分）

10月1日は下半期の始まり。そして、緊急事態宣言が解除された日でもあった。野球観戦に出かけた。その時、係員から執拗に顎マスクを注意されている年上の男性がいた。何度も注意されていた。誰かが言ったのかなあ。

実はそれ以前のまだ緊急事態宣言期間中に、お忍びでパフォーマンス席で観戦した。春先からチケットを取ってもらっていたからだ。その時は酒類持ち込み、提供禁止だった。

「緊急事態宣言」期間中における広島東洋カープ主催試合(8月27日～9月12日)の開催について
8月27日(金)～9月12日(日)の期間、広島県に「緊急事態宣言」が発令されます。お買い求めいただいたチケットでの観戦は今まで通り可能ですが、感染拡大防止のため、以下の点について、ご理解・ご協力をお願い申し上げます。

・アルコール販売は休止させていただき、球場内への持ち込みについても禁止させていただきます。
（球団ホームページより）

https://www.carp.co.jp/news21/n-224.html

ホームページから引用したが、このお知らせを探すのに苦労した。一体どこにこの情報は埋もれていたのか。スタジアム内でアナウンスはされていた。

この時代なので、ソーシャルディスタンス。一つ空席を隔てた隣に座っている男性が、気づけば席をしばらく外していた。その男性は、そのまた一つ座席を空けた隣の男性と2人連れのようだった。

無意識から意識へ。寝ている間に小さなムカデに噛まれ、強烈な痛みを痛みだとようやく認識して目覚めた時の経験に、それはとてもよく似ていた。

その男性が戻ってきてからほどなくして、私の頭痛持ち嗅覚センサーが作動する。頭痛い…アルコール臭い！こいつ、酒飲んどるのでは？との疑念が湧く。気になる私は、できる限りの横目で、その男性が何かドリンクを手にするか観察した。座席の下から出したのは、Carpのシールが貼ってある透明のプラコップ。透明の液体がなみなみと入っていた。その男性、コップの持ち方が、側面を握る形ではなく、コップの上から飲み口を掌で覆うように抱えて、多めの一口をすするように飲んでいた。……酒じゃろ。もっと言うならこの臭いは焼酎じゃろ。水ならゴクゴク飲めるじゃろ。

コロナ警察になるのも面倒だし、この人とトラブルになるのも嫌だし、例えこの人一人注意されたところで、同じようなことをしている人は他にもいそうな気がした。水筒持ち込みは可のわけで、水筒の中身まではチェックできないよね、水です、って言えばいいし。強制力、拘束力のある決まりでもないし。

多くの人の善意と、個人の判断基準の総和が結果に反映されるのだろう。10月になり、酒に関しては条件が緩和された。9月の隣の焼酎おにいさんは放置で、10月のマスクおじいさんは何度も注意されて、アンバランスさは感じたが。