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再エネ大量導入小委員会でソーラーシェアリングのプレゼンをしました

3月12日に開催された、経済産業省の再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第27回)にてソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)のプレゼンテーションを行いました。

下記のページで、当日の資料とライブ中継の録画が閲覧できます。

登壇の背景

3月1日に開かれた同委員会第25回で、今後の再生可能エネルギー政策についいて2030年エネルギーミックス目標のあり方について検討を進めることが示されており、今回はそれに関連した業界団体・事業者ヒアリングの一環だということです。

私は千葉エコ・エネルギー株式会社として、事業者の目線からソーラーシェアリングに関するプレゼンをという打診を受けて登壇に至りました。

時間不足と理解不足を痛感

プレゼンの持ち時間は8分という短さでしたが、その後の委員との質疑応答では手元に記録できているだけで23件の質問を受け、登壇した4社の中で最も質問が集中したと思います。

ただ、残念だったのは質問の半分程度がソーラーシェアリングに関する基本的な事項(作物の生育や営農への支障など)だったため、もう何分かプレゼン時間があればこのあたりはフォローできたので、より有意義な議論が出来たのではと考えます。

それでも実感したのは、やはり再エネ大量導入小委員会の委員の方々でもソーラーシェアリングについて基本的な事項すら十分には知られていないことです。この状況では必要な政策議論を期待する以前の問題になってしまうので、これについては更なる情報発信の必要性を痛感しました。

今回の要点

プレゼンの中で特に主張したかったのは、ソーラーシェアリングの普及阻害要因とその克服に向けた対策です。そもそも国内の太陽光発電市場の縮小を促進している経済産業省の姿勢自体に問題があり、新型コロナウイルス感染症も相俟ったコストの上昇傾向は言うまでも無いこととして、ソーラーシェアリングに特徴的なのは不適切な事例の増加と国策としての設備や農業に関する研究の不足です。

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プレゼンの中でも触れましたが、韓国では2030年にソーラーシェアリング1,000万kWの導入目標を掲げており、その上で政府資金による大手メーカーを交えた設備開発が急ピッチで進んでいます。あと数年すれば、韓国で確立された技術を踏まえた設備を日本が購入することになりかねません。

また、農業面での研究は1年1年の積み重ねが重要ですから、これも既に全国の農業試験場で実験設備を導入している韓国が先行しています。日本でも、速やかに各地の農業試験場などで実証研究に着手する必要があります。

阻害要因を克服し世界をリードするために

農業と共生するソーラーシェアリング設備のモデルを適切な学術研究も踏まえた上で確立し、そのデータを踏まえた適切な営農に関する規制を行うことが、ソーラーシェアリングの健全な普及には不可欠です。

残念ながら、再生可能エネルギーのために農地の規制緩和を求める声が増えつつあり、「食料確保かエネルギー生産か」という対立が生じるという懸念が現実のものとなりつつあります。重要なのは食料とエネルギーという社会の存立に不可欠な資源を、いかに効率的に国内で確保していくかです

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既に太陽光発電の分野ではFIT制度以降の乱開発によって地域との軋轢を生じさせてきた負の歴史があり、その反省と検証に立ったエネルギー政策もまた不可欠です。

こうした足元を固める取り組みを進めた上で、太陽光発電を含む再生可能エネルギーを迅速に大量導入する方針を政府が示し、必要な政策手法を朝令暮改せずに堅持していく姿勢が求められます。

かつて太陽電池技術で世界をリードした日本が、今もまたソーラーシェアリングの先進地と認知されている流れに乗って、再び再生可能エネルギー分野で世界のトップランナーとなれるかの分水嶺に差し掛かっています。

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