#3 地産地消!『国産小麦』で美味しいパンを作りたい! 第3話
■第3話 パン用小麦ってどれがいいの?栽培品種を決めてみる!
こんにちは、GreenLushです。
国産小麦の自給率向上と普及を目指して『自分自身で作る!』
という目標を掲げ日々奮闘しています。
今回は実際に栽培にチャレンジする品種について考えてみたいと思います。
以下に理由を長々書きますが結論から言います。
『ゆめかおり』を作ります。はい。
・・・。
えーさて、一口に『小麦』と言えど、その種類は様々である事は第1話で軽く触れましたね。
国産小麦の自給率向上と普及に向けた活動の中でも特に重視したいのがパン用の『強力粉』です。
強力粉は一般的にタンパク質含有量が12%以上のものを指します。この”一般的”というのは、実は日本国内において強力粉の定義が厳密に規定されていないとの事らしいです。従って11.5%のものを強力粉と見なす場合もあり、あくまでも目安であるという事になります。更に、タンパク質含有量13.5%以上のものを超強力粉、または最強力粉と分類されます。外国産の小麦を使用した強小麦粉はタンパク質含有量13.5%以上のものが多く、その為、ふっくらしたパンが出来るという訳ですね。
そして、もうひとつ小麦の品質を現す指標があります。
それは『灰分(かいぶん)』です。
灰分とは、小麦の外皮や胚芽部分に含まれる、リン、カリウム、マグネシウム、鉄などのミネラルです。小麦粉を高温で燃やしたときに、たんぱく質、でんぷん、脂質などは燃えてなくなりますが、一部は灰として残ります。それが灰分と呼ばれているものです。
灰分が多い小麦粉は灰色掛かった色をしています。
逆に灰分が少ないとより白い粉になります。
灰分が少ない粉を使用してパンを作ると、小麦の風味が軽くあっさりしたパンになります。逆に灰分が多い粉を使用すると、風味の強いパンになります。また、灰分の多い粉は酵素を多く含むので生地がだれやすいそうです。
灰分の量によって特等粉、一等粉、二等粉、三等粉、末粉に分けられ、灰分が少ないものが上級品とされています。
具体的には、灰分値が0.3~0.35%のものは特等粉、0.35~0.45%のものが1等粉、0.45~0.65%のものが2等粉、0.7~1.0%のものが3等粉、そして1.2~2.0%のものが末粉と分類されています。
同じ成分でもより白くおいしくする必要がある一般のパンは特等粉や一等粉が使われ、色や揚げ色がきれいに出したいパン粉などは2等粉を使うなどというように分けて使われるようです。
・・・とまぁ、このように種類と等級が分けられる小麦ですが、一般的なパンを作る場合は少なくとも小麦のタンパク質含有量を気にする必要があるという事が分かります。
小麦のタンパク質含有量を高めるためには、
■タンパク質含有量の高い硬質小麦品種を栽培する
■栽培期間中に小麦を熟成させる
が考えられます。
パン用に適した硬質小麦品種で日本国内で生産されているものは、主に北海道で生産されている『ゆめちから』が挙げられます。
北海道は梅雨が無く本州に比べ気温も低い為、夏期に収穫時期を迎える小麦にとって適した環境と言えますが、一方、本州の場合、夏期に収穫時期を迎える小麦と梅雨の時期がちょうど一致してまいます。
梅雨の長雨と高温・多湿の気候が小麦にとって最大の弱点となってしまいます。下記の2つはその代表事例です。
■穂発芽(ほはつが)
■赤カビ病
どちらも雨や湿気によって引き起こされる問題です。
■穂発芽
穂発芽とは、麦や稲に発生する現象で、作物の種が穂についたまま「芽」を出してしまう現象です。湿度が高まり、水を含み続けることよって発芽を引き起こします。穂発芽になるとデンプンやタンパク質が分解されてしまい著しく品質が低下してしまいます。
■赤カビ病
赤カビ病とは、麦類によくある病害で、感染すると粒の成長が阻害されたり、穂全体が枯れてしまう病気です。また、人や動物が食べると消化器系への中毒症状を引き起こす場合があり、更に、免疫機能の抑制等や、発がん性を有するとの報告もあります。
本州の場合、雨に曝される前に収穫してしまう事で熟成が進まず、結果としてタンパク質含有量が上がらない、という状態に陥っていると考えられます。
そこで、この問題を改良したのが『ゆめかおり』という品種になります。
ゆめかおりは、本州(特に関東周辺)向けに改良された品種で、熟期、耐病性、収量性を改善した硬質小麦品種なのです。
調べてみると我が山梨県においても『ゆめかおり』が適格品種に指定されていました。しかしながら、まだまだ普及の途上で様々な課題があるようです。ですが、まずはこの『ゆめかおり』を栽培してみたいと思います。
『ゆめかおり』、キミに決めた!
続く・・・