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建築史 古代④ローマⅣ 椅子について

こんにちは。インテリア&建築の学び直しサロン「くらし間」です。
それでは古代④ローマⅣです。
(まだ時々加筆・追記・修正などしております)

時代背景おさらいから。

■古代ローマのおさらい

B.C.8世紀頃に古代イタリア人の一派であるラテン人によって、イタリア半島中部に都市国家ローマが建設され、王政がしかれていました。

B.C.6世紀には貴族たちが王を追い出し、共和制へと移行しました。その後ギリシアをはじめ地中海世界を征服しました。

B.C.1世紀後半には帝政時代に入っていきました。征服した地から得る多大な富と奴隷の労働力によって、ローマは大帝国として発展をとげていきました。

そんな時代背景がありながら、建築や家具は富と権力の象徴、それらを位置づけるものとして、発展してゆくのですね。

古代ローマ時代の芸術文化は、支配下においたギリシャの影響が非常に大きく、椅子もギリシャ時代の流れをくんでいます。ただし、椅子にも上流階級の好みか装飾の多いものが目立ち、ギリシャ時代の優雅でシンプルなフォルムとは少し異なった印象です。

素材は木以外に大理石やブロンズが用いられました。

■古代ローマの家具、主に椅子について


ギリシャ時代の椅子よりも装飾が増加傾向に主な椅子の種類としては

●カテドラ ひじ掛けのない背もたれ付き
●ソリウム 玉座タイプ
●ビセリウム 4脚スツール
●セラ・クルーリス 折り畳み式スツール
●トリカリニウム 大型の食事用寝椅子

など、どれもギリシャ時代の椅子に対応しています。

庶民の間では、簡素な丸形スツールが使われ始めました。

●ギリシャの「クリスモス」をどっしりさせたような「カテドラ」


ギリシャ時代のクリスモスをアレンジした、今でいうサイドチェアのような椅子。ギリシャ時代に比べると全体から醸し出される優雅さは消え、脚の美しいア-ルがないものもあります。

壁画に描かれたカテドラ

椅子は現存はしていませんが、カテドラに座った婦人像で椅子のフォルムは確認できます。
カテドラとは、現代では司教座を意味します。ちなみに、カテドラルとは大聖堂のこと。

●身分の高い人が座る豪華な玉座「ソリウム」

ギリシャ時代のスロノスを原型とする、背もたれとひじ掛け付きの玉座タイプ。中には、座が円形でせもたれもそれに合わせてアールがついているものもある。

スロノスと比べ、大きくて重厚、されに装飾が華美。主に身分の高い人や家長が座っていた。

ソリウムは後世の玉座にかなりの影響を及ぼしたといわれていますが、元々は古代エジプトの玉座を起源としています。


それぞれにももっとバリエーションが存在しています


●凝った装飾が施されたスツール「ビセリウム」

ギリシャ時代のディフロスと同じく4本脚のスツール。元老院や議員や執政官などが座る権威の象徴を示す椅子。使用者の位によって座の高さに格差がつけられたといいます。

●執務官が使用した折り畳み式スツール「セラ・クルーリス」

ギリシャ時代のディフロス・オクラデュアスから発展しました。X型脚で折り畳みのできるスツールです。執政官などが使用しました。

あの名作椅子の「バルセロナチェア」は折り畳み椅子式ではありませんが、セラ・クルーリスなどをリ・デザインしたといわれています。


●寝るだけでなく食事の際にも使った、寝椅子「トリカリニウム」

レクタスとも呼ばれます。ギリシャ時代にクリーネという寝椅子がありましたが、ローマ人の方がより愛用していたようです。

片方の端(両方の場合も)には枕とひじ掛け兼用の造作物が取り付けられています。


前回記事の古代ローマⅢの時にご紹介した、youtubeでも椅子についてのことが終わりの方で出てきます。


ポンペイ遺跡 壁画

右の夫人が座っているのはビセリウムでしょうか・・・


ポンペイについては、今年ちょうど展覧会「ポンペイ」が日本各地で開かれています。今は東京です。

ポンペイや古代ローマについてのテレビ番組での特集も多いので、ぜひ時代背景も知りながら見学に訪れたいですね。

ネロ皇帝の再現シーンなどで、元老院議員が座っている議会の椅子をじっくり見てみると、あれはカテドラではないですか・・・?!
などなど、面白いです。


*この記事は「名作椅子の由来辞典」の一部を参考に書いています。
もっと詳しく知りたい方はこちらもご覧になってください。

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