「ドキュメンタリー映画」のドキュメント(8)
2日目の予定は「秘密結社主夫の友」の秘密会議(という名のミーティング)と僕のインタビューの予定です。そのため、秘密会議のある秋葉原の会場で午前に集合だったのですが、前日に連絡が入って
「行くまでの道中も撮影したいので、自宅を何時くらいに出るか?」
と聞かれました。僕も何度か取材と言うものを受けているのでわかるのですが、素材は多ければ多いほどいいもので、後から欲しかったとしても撮り直しは出来ないものです。ましてやアメリカから来ていて時間制約もある。気持ちはわかるのでOKをすると、またまた朝早くからクルーはいらっしゃいました(笑)
こちらとしては、おっさん一人が歩いているところを撮っても面白みはないとは思ったのですが、まさか乗った電車の中でも撮影されるとは思ってもいませんでした。多分、乗っていた他の乗客の方は訝しげに見ていたでしょうね。絵面としては、金髪のおっさんを撮影してる外国人。しかも色々角度や位置を変えつつ。なるべくは平静を装ったんですが、その構図が面白くて何度か吹き出してしまいましたけど(笑)
秘密会議での撮影は仲間たちの協力を得て無事終了。トップの画像がそうなんですが、みんな気にしないメンバーではありますが、一応モザイク(笑)
終了後は午後のインタビューの打ち合わせのためにランチミーティングでトンカツ屋さんへ。ディレクターのWalterはベジタリアンだったけど、他のクルーは和食のトンカツを食べてみたい!というリクエストがあったので。ミーティングだって言うのに肝心のディレクターがいなくていいの?と聞くと「ああ、あとでシェアしてもらうから大丈夫。あと、シュウ(この頃になると僕はこう呼ばれてた)だから心配してない」
どうやら「取材慣れ」していて、どう動けばどう映るかも一緒に考えて応えるようにしていた姿から、あまり指示などをすることはなくていいと思ってくれたようです。もっとも「ドキュメンタリー」ではあるので、過度な演出は無いのですが。
ランチのあとは、いよいよインタビューの撮影です。
日本の狭いマンションのリビングがスタジオ化していく様は、本当にビックリでした。セッティングもテキパキとしていて、こんな風にするんだぁ〜と逆に感心して見ていました。すると、カメラ位置が決まった時に、Walterが
「シュウ、ここに僕の顔が写ってるだろ?そこに目線を合わせて話して」
と指示がありました。それが上記の写真です。Walterがカメラの横にいるのですが、鏡になっていて、僕の方にはその横の箱みたいなところにWalterの顔が見えるのです。このシステムを見て、アメリカのドキュメント番組のインタビューを受けている人が体を動かさないで、一点を見つめて話す理由が分かりました。(日本人のインタビュー動画と比べてみてください。日本人はなぜか体を動かしてしまうのです)
インタビューは通訳を介してですが、3時間ちょっとかかりました。
聞かれた内容は、これはいつも通りの内容。「子どもの頃のこと」「なぜ主夫になったか」「主夫になってどうだったか」「主夫であるメリット・デメリット」などなど。僕は比較的隠すことはしないので、ありのままに自分の半生(笑)を話しました。あ、「なぜ金髪なのか」も聞かれましたね(笑)
Walterから「OK!シュウ、本当にありがとう!」と声が掛かった時には、やっと終ったと思うと同時に、一番最初に電話口で軽い気持ちで引き受けたのがこんな風になるとは…と言う思いもよぎって、思わず深いため息をついたのでした。
つづく
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