「ドキュメンタリー映画」のドキュメント(9)
インタビューが終わり、機材を片付けている時、コーディネーターのJohnが
「今から保育園にユウを迎えに行くんだろう?クルーみんながもう一度ユウに会いたいと言ってるけど、待っててもいいか?」と言ってきました。
僕はもちろんと答えました。なんだかクルーみんなが息子を気に入ったようでした。急いで保育園に迎えに行き、初日の朝の時のように内緒で帰宅すると「え〜!なんでみんないるの〜〜〜!」と嬉しそうにみんなに駆け寄って行きました。それからその日保育園から持ち帰ってきた製作物を見せて自慢してました(笑)僕はそれを側から見てて、多分息子はこれを覚えていないかもしれないけど、経験の一つとしてどこかで思い出すんだろうなぁと考えてました。日本で生活していて、これからの時代は珍しくなくなるかもしれないけど、それでも外国人の方々に囲まれて話をする(言葉は通じなくても)ことがきっといい経験になる、と。
すると、Johnから僕に提案があると話し始めました。
息子はこの当時(まあ、今でもなんですが)お小遣いをほぼ使わずに貯金しておりました。当時はNINTENDO Switchが欲しいために貯めていたのです。それでも値段的には到底及ぶことはなく、単純に3年はかかる計算なので、どこかでキープしているお年玉を使って買う方向を考えてました。
そのことを多分雑談で話したんだと思います。(息子が言ったのかも?)それを知ったクルーみんながそうして頑張っている息子に「寄付」をしたいと申し出たのです。その場でそれを言われた時、とっさに出た反応はお断りでした。しかし「いや、大した金額じゃないんだ。だから重く取らないで欲しい。でも、僕らはユウのがんばりに感動してそうしたいと思ったんだ。僕らのその気持ちを受け取って欲しいんだよ」とJohnは言いました。横を見るとWalterが頷いていたので、僕も了承しました。
実際に直接説明を聞いて、受け取った息子はキョトンとしてましたが、この後「寄付をする」と言うことを身を以て体験したこともあってか、何かにつれ「お小遣いから出していい?」と募金箱などに寄付をするようになりました。(1年以上経った今でもそれは続いてます)
「最後に外で2、3質問を撮りたいんだけどいいかな?」
Walterからそう言われて、自宅マンション前で最後の撮影。ワザと息子をカメラの方に呼び込んで、堅苦しくない雰囲気で撮りたいんだなぁ〜と思っていると、カメラのサブモニターに映る僕を、息子がニヤニヤしながら見ている姿を見て思わずシミジミとしてしまいました。
全てが終了しクルーが帰国後も、Walterからはコーディネーターを介して、または直接メールを貰い『家族ムービーが欲しい』『シュウの若いときとか結婚した頃とかの写真はないか?』などなど、細かい要求は続きました。それぞれについて、対応して送ったりしたのですが、よくよく考えれば(考えなくても分かるのに)若いころの写真なんて、恥ずかしくて見せるに値しないと自分でも封印してるものだったのに、嬉々として選んで送ってしまってました。
そしてその後Johnからサラッと雑談で言っていた「映画が完成したら、劇場で公開とかしたいね」を思い出し、大きなスクリーンで自分の顔がデカデカと映ることを想像して後悔をしたのでした(笑)
長くお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
と、本来はこの回で終わり……のつもりだったのですが、色々展開があったので、もう少し続けます。
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