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プレゼンテーション手法①
先日も投稿しましたが、TIP10というビジネスセッションに当店は参加しておりました。その最終セッションについて、昨日地元新聞にも掲載されました。
記事内にもあるとおり、最終セッションでは9チームがそれぞれ自分たちの事業構想をプレゼンしました。もちろん当店代表の私も発表したのですが、最終セッションに限らず、プレゼンに関しては結構お褒めいただいておりました。最終セッションを見にきてくださった当店のお客様方含め、手前味噌ながらプレゼンに関してはコーヒーに次いでお褒めいただく機会が多いです。
その中で、たまに手法の話を聞かれることもあります。正直プレゼンに関しては私もまだまだ勉強中なのですが、ご厚意とご期待を無下にし続けるのも心苦しいので、本連載では私が意識しているプレゼン手法についてお話ししていきたいと思います。
なお本連載で論じる「プレゼン」とは、スクリーンやモニターにスライドなりを投影して説明する場面を想定しております。レジュメ配布型などとは異なる(通じる部分もあるかもしれませんが…)ということは念頭においていただければ幸いです。
スライドデザインについて
まず、一番聞かれるのがこれですね。
私のプレゼンでは、一貫してシンプルデザインを採用しております。よく「Appleのプレゼンみたい」と揶揄されるのですが…本質的には必要に迫られて採用しているだけです。鶏肉が好きな人がそれでハンバーガーをつくろうとしたとして「ケン◯ッキーみたい」とは言われないと思いますが、それと同じです。(まぁ私はプレゼンの勉強のためにAppleの発表会を深夜までリアルタイムで観るほどではありますが笑)
さて、シンプルデザインと申しましたが、具体的にどうしているのかというと、一言でまとめるなら「引き算の考え方」です。
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↑のスライド、よくあるデザインだと思います。見出しがあって、イメージ写真があって、箇条書きでの説明があって。PowerPointのテンプレートにあるので使いやすく、みんな気軽に使用しているデザインかと思います。
しかしこれをスクリーンなどに投影し、箇条書きの部分を音読し、プレゼンだとしていいのでしょうか。
そもそも人間は「聞く」と「読む」を同時に行えるほど、器用ではありません。聞いているときは読んでいないですし、読んでいるときは聞いていないのです。換言すれば、聞いてくれているならばここまで情報を詰め込んだスライドは必要なく、読まれるならば説明するあなたの存在が必要ないのです。
なので、思いきって箇条書きの情報は消しましょう。
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台本が欲しければ、ノート機能に書いておけば発表者ツールには表示されます。そもそもこの例のように商品紹介ならば、プレゼンする人は情報くらい暗記しておくべきです。その準備一つにも熱意はこもるものです。情熱は、声の大きさや、表現の拡張でアピールするものではありません。その人が本当に財・サービスに熱意を持っているなら、清流のように穏やかでも伝わるものです。
さて、デザインセンスに乏しい私でも、↑のスライドには違和感を持ちます。写真の位置が変ですね。というわけで、大きくして真ん中に持ってきてみましょうか。
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…うーん、まだ変ですね。
そもそも、見出し語は必要でしょうか?プレゼン中であれば、そこには何らかの文脈や話の流れというものがあるはずです。ならば、わざわざ見出し語を置く必要はありません。
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例えば、それまで「通常仕様」の商品説明していたとして、「ここからギフト仕様の話をしますよ」というコンセンサスを取る意味で、↑のスライドを1クッションさせるだけで済みます。その上で、商品写真に入り、説明を始めれば良いのです。
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こんな感じでしょうか。
スクリーンサイズが大きければインパクトを生み、小さければ「それでも見やすい」という保険になります。余計な情報も一切要りません。まぁ商品紹介ならば営業資料なので単価だけは記載していても良いかなとは思いますが。なくても良いです。
重要なのは、プレゼンの主役はプレゼンターの"あなた"である、ということです。スライドはあなたの話を補助するものでしかありません。先述と重複しますが、スライドで事足りるならあなたは必要ないんです。わざわざ空き時間つくって往復の移動時間かける値打ちがありません。PDFにしてメールしてください。
"スライドデザイン"にこだわらない
ここまで、いかにスライドをシンプルにするかお話ししてきました。「引き算の考え方」と先述いたしましたが、シンプルデザインの本質は、いかにしてデザインをなくすか、にこそあります。
デザインが優れたスライド、デザイン性の低いスライド、いろんな議論があります。
しかしプレゼンの目的はデザインコンクールではなく、いかに伝わるか、です。「良いデザインのスライドだね!」と褒められたところで、商品紹介のプレゼンならば、財・サービスが消費されなければ意味がありません。もちろん「わかりにくく退屈なデザイン」と言われて、話を聞いてもらえないのも論外です。
本質的な問題としては、スライドのデザイン性に着目したプレゼンでは"デザインの良し悪し"という思考のノイズが発生してしまうことです。そんなのどっちでも良いんです。コーヒー屋であれば「何をもって上質なコーヒーとしているのか?」「いつものコーヒーをおたくのコーヒーに変えるとどんなメリットが受けられるのか?」が伝われば、お客様はちゃんと購入してくださいます。
デザインが良い、でも、デザインが悪い、でもいけません。
デザインがない、これが至高です。
シンプルデザインほど難しい
究極、口頭説明だけで伝わりきるなら、それが最上です。コーヒー屋であれば、一杯飲めば分かる、そんな"一杯のコーヒー"というプレゼンこそ至高でしょう。ただビジネスプランや商品紹介などではそうもいかないので、最低限のスライドは必要になります。
そんな時、引き算の考え方でスライドを作るのは、挑戦すればわかりますが、かなり難しいです。算数でも、足し算より引き算のほうが難しいですが、デザインもそれと同じです。また、厄介なことに、シンプルデザインはともすれば手抜きにも見えるので、慣れないうちは評価も受けにくいです。会社員の方が挑戦するには、上司などからの強い反発が予想されます。「やってらんねぇよ!」と腐りたくなる瞬間がきっと訪れます。
しかし、身につけてしまえば、これほど強力な武器もありません。シンプルデザインの能力は、プレゼン準備に限らず、日常のあらゆる場面で有効だからです。
次回は、その理由についてお話しいたしますね。
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