人生日記 part.3 恥めて
幼稚園に入った。それまで家でぬくぬくと育った私にとっていきなりの社会生活は難しいことも少ない。
友人関係である。
友達の作り方なんて知らない。話しかけ方なんて知らない。でも、テレビで見ていたような友達の存在に憧れていた。
それは、通い始めて一週間ほどたった日のこと。
先生がクラスの園児に列に並ぶように指示し、みんな並んだ。先生は私たちにそのまま待つように伝えどこかへ行ってしまった。
その時だった、私の後ろにいた友人でもない男子がなぜか私にキスをしようとしてきたのだ。子供の遊びだ。もちろん幼稚園児の私は単純に嫌がり、列を抜けて逃げた。その男子は逃げても逃げても追いかけてきた。私も負けじと逃げ続ける。
数分した後で急にその男子は列に戻った。
私もようやく終わったかと思い列に戻ろうとしたとき、タイミングよく先生が帰ってきた。
はめられた!
友人でもない男子はこれを狙っていたのだ。私は先生から怒られた。
理不尽だ。
子供ながらにそう思っていると前に並んでいた男子が声をかけてくれた。
「大丈夫?」
それが私の初めてできた友人だった。
人間は怖くも優しくもあった。
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