アイコニックな町―オランダの挑戦
今月のモリゼミのテーマは「オランダ―気候変動との付き合い方」。
水と共に生きてきた、オランダから学ぶものはどれも興味深い。
オランダを学び続けて、約3ヶ月。それでも初めて聞く内容もあれば、なるほどそのように表現すると納得感があるのか、というものまで、学びに富む1時間半のレクチャーでした。
「世界は神が作ったが、オランダはオランダ人が作った」
オランダの国土は30%以下が海面より低い。そのことから、オランダは自らの国を自らの手で創り上げ、自然に抗うよりも共存することで発展することを遂げてきた歴史がある。このことが、オラダンの多様性につながり、オランダらしさを創り上げてきたのだと思う。
オランダのしなやかさ
オランダは水との共存を成す上で、建築物しかり、街並みしかり、その一つ一つの発想が柔軟であると思う。どのようにしてその柔軟性や寛容性を備えることができたのか。それは宗教や貿易が密接に関わっているようにも感じ取ることができた。種々様々な思想や文化を受け入れてきた土壌があるからこそ、現代においてもそのしなやかさを発揮できる社会へとその変換と遂げたのではないだろうか。
他者寛容性
「ポルダーモデル」に題されるように、オランダは水の統治をするためにも、階層を超えた連携や意見を言い合い聞き入れることが必要不可欠であった。これが今のオランダでフューチャーセンターやワークシェアリングといった多様な働き方や人の集い方を実現させたと言える。他者や異なる意見を受け入れることができるからこそ、新しい挑戦も実行することができるのだろう。
アーティスティックな町と発想
CIRCL、Wagg Society、Bridge、Smart Highway、DeCeuvel、など町づくりと住まい方、働き方の発想が地続きかつ、感性の豊かさを耕すアーティスティックな発想に基づいている。無理のない町、柔軟な働き方や暮らし方が根付いており、アート性と柔軟性と町づくりがリンクしていることがオランダらしさや多様性と呼ばれる所以に通ずる思想が根底には流れているのではないかと私は思う。私の主観だが、アート分野と産業、まちづくりが掛け合わさることで、感受性豊かな国として成り立ち、五感や左脳をも刺激する町だからこそ新しい発想が生まれる循環があるのではないかと想像しワクワクする。
知のプラットフォームを育てる
オランダは国土が小さく、水との共存・戦い・統治が常に隣り合わせにあることもあり、オランダ王国を国として誇示するためにも、オラダンらしさをオランダ人が追求することで、独自性がある、ある種現存する技術や産業で周辺諸国に勝ることを選択せず、“知”の積み重ねにて周辺諸国との差別化を図ってきたのではないかと思う。
Noah、ReBlend、Floating Farmなどの斬新かつ大胆な取組を当り前のようにやってのけるのは、オランダをオランダに住む人が育て、それを国を挙げて受け入れる寛容性があるからこそ、成し得ているのだと思う。「完成しない町づくり」ではなく、進化し続けるからこそ完成のその先が常にあり、完成しないのだと思った。
サーキュラーエコノミーから学ぶ
「なぜオランダではできて、日本ではできないないのか?」
根底にある思想をまずはひも解き、何をオランダから学び、どのようにしたら日本にインストールできるのか、何を日本に持ち帰り提言するのか。
これから先最終発表までの期間をかけて日本でも実行できる提案ができたらと思いを寄せる日曜日となった。