映画『スパイの妻』
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『スパイの妻』
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監督 : 黒沢清
出演 : 蒼井優、高橋一生、東出昌大
音楽 : 長岡亮介
上映 : 2020/10/16
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『散歩する侵略者』に続き黒沢清監督作品の
二作目の鑑賞をしました。
贔屓にしている蒼井優さんの主演作という事もあり、前々から楽しみにしていた為、ようやく観られた喜びもありました。
第二次世界大戦頃に行われた日本軍による
捕虜を使っての非人道的実験を
偶然知ってしまった夫(高橋一生)は、
国外へ顛末を公にしようと行動を始める。
妻(蒼井優)は夫が秘密を抱えている事に気付き、
探ろうとしていくお話。
制作にNHKが関わっている為でもあるのか、
大河ドラマと朝ドラの両方の要素を持つ格式高い
美意識を宿す作品でした。
ジャンルはミステリーで、三段階の謎を解き明かす物語をあくまで人間ドラマとして味わえる点は、大河ドラマのようでもありました。
そして、だからこそ謎の解明が同時に登場人物の心情とリンクしており、中でも「お見事」の台詞の場面は印象的でした。
「私は一切狂ってはおりません。
ただ、それがつまり、
私が狂っているということなんです。
この国では。」
“異”の匠としての洗練された
台詞だと思いました。
黒沢清監督が違和感や異質を扱う事に特化しているという事は、空気感や雰囲気・気付きに対しても特化しているという事をこの作品で目の当たりにしました。
嘘吐きは嘘を吐いているとは言わない。
これも今作の魅力だと思います。
蒼井優さんの話し方、
健康的な高橋一生さん、
妖しい東出昌大さん、
役者の方々の芝居が素晴らしかったです。
幾らか前に世間的に印象が悪くなった東出昌大さんですが、私は彼の芝居を観るといつも良いなと思っていると今回ようやく気付きました。
2020年ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞
(最優秀監督賞)も納得の作品でした。
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