いろ日記 2【3/9-3/16】 -日記小説-

ある人の ある３月の日記です。

●３月９日　「 朝の光の色 」

新たまねぎをうすくうすく切りました。
透きとおっていてとてもきれいだなと思いながら切りました。

半分は水にさらしてサラダに。
もう半分はマリネに。

新たまねぎの色は、レースカーテンからさす朝の光の色。

●３月10日　「 こいピンク 」

いつの間にか梅がこぼれそうに咲いていました。
こいピンクのそのまわりだけ、空気がぽかぽかしています。

●３月11日　「 鳥の色 」

鳥と目が合いました。２回も。

目線を感じると思って、横を見ると、門に止まった鳥がこちらを見ていました。
ちょっと前髪が立っているみたい。
むらさきがかった灰色の鳥でした。

あと１階は、植栽がかさかさ鳴ったかと思うと、顔がちょこっと出てきて、目が合いました。
抹茶の色をしていました。

どちらの目もきれいな目でした。

●３月12日　「 きみどりいろ 」

新キャベツをざくざく切って、たまごと炒めました。
たまごの黄色と一緒になって、新キャベツはつやつやときみどりいろに輝きました。
美しくて見とれてしまいました。

●３月13日　「 灰白色 」

今日は空全体がぼんやり白く、雲につつまれた一日でした。
しばらく白の濃淡を見ていました。

●３月14日　「 ひだまりいろ 」

かすみのような、クリームのような、
軽いけれどまったりもったりしてる。

ささっと流されてしまわずに、ここに留まってくれる。

目をとじて、ただ、心地いいひだまりいろにつつまれる。

●３月15日　「 いろいろ白 」

向かい側の席に座っていた方が、白系の色でまとめたファッションでした。
少しずつ色あいの違う白を重ねて、組み合わせて、とてもおしゃれでした。
その方は同じ駅で降りて、先に歩いて行きました。
その後ろ姿のある朝の光は、いつも以上に美しく見えました。

●３月16日　「 黄色と茶色 」

あらびきマスタード。チューブの中でくすんだ黄色とつぶつぶの明るい茶色が模様を作っています。おもしろくて見てました。