-小説- ミモザからはじまる 【4.つゆくさ】
低い音でスマホが震える。明るい窓が亮からの着信を知らせる。
「もしもし」
「今いいか?」
「大丈夫ですよ。バイト終わって、ちょうどカラオケに来たとこです。ちょっと練習しに」
若葉は、重い扉を開いて、小さな部屋に入る。
「そうか」
「何かありました」
「ああ。メール送ったんやけど。そこに付いとるURL開いて」
若葉は電話をスピーカーに切り替えて、メールを開く。
「はい。これですね。何ですか」
メールのURLの先に、空色が広がった。見覚えのある色に、若葉はほっとした。
「これって