いろ日記 4【3/25-3/31】 -日記小説-
ある人の ある3月の日記です。
●3月25日 「 オレンジ色 」
中庭の側を通ると、この頃いつも一羽の鳥を見かけます。
オレンジ色の羽をしたその鳥はちょこちょこちょこちょこと庭を歩き回っています。
そんな姿を見るのが楽しみで、
友達に会えてうれしい気持ちってこんな感じかなと思いました。
●3月26日 「 だいだい色 」
今日は雨。
干草色の空き地が、雨に濡れてだいだい色に光っていました。
そこだけ、まぶしくて美しかったです。
●3月27日 「 花芽色 」
木についたつぼみがふくらんできて、もうすぐです。
花芽の色を見ているとそこに希望がこめられているようで
同じことを繰り返している毎日でも希望を持ってもいいのかなと思えます。
●3月28日 「 ブルーブラック 」
退職される方へお手紙を書きました。
うまく言葉にできないけれど
ありがとうございました の気持ちだけでも
ブルーブラックの文字が伝えてくれますように。
●3月29日 「 うすむらさき 」
何か違う雰囲気を感じて
カーテンを開くと、そこはうすむらさきに包まれていました。
くもり空に夕方の色が混ざって、こぼれた世界。
妖精に出会えそう。
●3月30日 「 茶色 」
ほうじ茶とチョコレートで一息つきました。
茶色って落ち着く色だな。
●3月31日 「 さくらいろ 」
春はどこかこわい。新しいはこわい。
私はいつも同じがいい。
いただいたさくらいろのハンドソープで手を洗います。
うすいピンクを手に広げて、白い泡をつくります。
小さな洗面所に、新しい香りが広がりました。
新しいも、少しいいなと思いました。
どうかお元気で。
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