基礎1: 日本におけるカンナビノイドの位置付け
#はじめに
こんにちは。GREEN XのJOです。
なぜ私が日本では違法麻薬という強い印象を持たれた大麻に興味をもち、その化合物群であるカンナビノイドが我々人類のQuality of Life (生活の質) を改善しうる、と考えついたのか、について書いてみたいと思います。
私のミッションは、深い調査しなくても、誰でも現状を理解し、最初の一歩を踏み出すことができることを目指していますので、詳細はリンクとして、論点を要約して記載します。また、メリット、リスク、それぞれ明確に記載することを心がけたいと思います。
#テーマ
今回のテーマは、カンナビノイドは基準に沿っていれば日本国内における利用及び保持は適法である、という点について簡潔に纏めます。活用を躊躇してしまう「入り口」の整理をします。
なお商品の販売やマーケティングについては、別途「薬機法」、「景表法」等があるため、本投稿はカンナビノイドそのものについての法的解釈の整理となります。
内容は2023年1月時点のものであり、今後法改正等により解釈が変わる点は留意ください。
様々な弁護士事務所の先生方の解釈等を参照しています。情報のソースについては、最後に詳細を記載してあります。
#まとめ
日本国内でのカンナビノイドの位置付けは、
1. 大麻草の茎及び種子は部位規制されていないので、それら由来であれば適法
2. 精神作用のある"THC"以外のカンナビノイドは成分規制されていない。つまりTHCが取り除かれているCBD、CBN、CBGといった天然の植物性カンナビノイドは適法
3. カンナビノイドは輸入に依存。税関では、証明書、成分分析表 (COA)、写真の提出が求められ、厳格な過程を経ている。
以上から、1 - 3をクリアしているCBD、CBN、CBGといったカンナビノイドの利用は日本国内においても「適法」である。購入・利用の際は、COAの提示と確認を推奨。
昨今、天然の植物性以外に、人工で化学修飾された半合成カンナビノイドが横行しており、これらは副作用や適法性に疑義が生じる可能性があるため、触らないことを推奨。
#論点1: 日本国内においても、大麻=即違法ではない。
結論: 茎と種由来であれば規制対象外。
つまり、大麻草の成熟した茎や種子(発芽しないよう処置されたもの)については、大麻取締法の対象外ということになります。日本の大麻取締法は、「部位規制」といって、大麻製品がどの部位から作られたのかに着目して規制されている。
ちなみに「部位規制」において大麻は、「穂」、「葉」、「根」、「茎」、「種」、で構成されている。
#論点2: 大麻の成分について
結論: THCという精神作用のある成分のみ規制対象。
大麻草の茎や種子由来の製品であれば、大麻取締法で規制される大麻製品ではなく、所持の適法性や輸入の際の制限がないのかというとそう単純ではない。
日本の大麻法制を知るためには、大麻の主な成分を知る必要があります。大麻草には主にCBD(カンナビジオール)とTHC(テトラヒドロカンナビノール)と呼ばれる成分が含まれている。いずれも構造が類似している成分ですが、摂取した際の生体の反応が異なる。
THCには精神活性作用があるため、摂取者はハイになり、多幸感を得られるといわれている。一方、CBDは、精神活性作用はなく、リラックス効果が得られるといわれている。
先ほど、日本の大麻取締法は、「部位規制」であると言いましたが、実態はこのTHCを含んだ製品が「成分規制」されている。なぜこのようなねじれ現象が起きるかというと、THCという成分は、葉や花弁に多く含まれており、抽出部位を確認する際にこのTHCの含有量を確認するというのが実務の運用だからである。
つまり、日本の大麻法制は法律の文言上は「部位規制」でありながら、実際の取り締まりは「成分規制」で行われているということになる。なお、麻薬及び向精神薬取締法によって指定麻薬とされている。
#論点3: 製品の原材料の確実性
結論: 論点1と2をクリアし、輸入時に証明できていれば
その原材料を基とした製品は規制対象外。
ただし購入及び利用に際しては成分分析表を確認する。
つまり、「部位規制」と「成分規制」のそれぞれの要件に抵触しない原材料であることが証明されている製品については適法である。
現在、日本国内における大麻の栽培は規制され、
免許制となっており、実在する栽培者は産業用途がほとんどである。
良質なカンナビノイドの国内生産は事実上困難で、
カンナビノイド製品の生産・販売は、
栽培が合法である国からの輸入に依存している。
大麻は100 - 120とも言われているカンナビノイド (特有の化合物) で構成されており、それぞれの効果について日々研究が進んでいる。主要なカンナビノイドは、違法成分であるTHC (テトラヒドロカンナビノール)を筆頭に、中枢神経作用のないCBD (カンナビジオール)、CBN (カンナビノール)、CBG (カンナビゲロール)、などが挙げられる。
これらを輸入するに際して、厳格な関税手続きを行う必要があり、(1) 証明書、(2) 信頼性の高い第三者分析機関によるCOA (成分分析表)、(3) 原材料及び生産工程の写真、の提出が必ず求められている。利用者は製品を購入する上で、販売或いは生産者が適正なCOAを明記できるもののみ購入することが望ましい。
#論点4: カンナビノイドの種類とトレンド
結論: (半) 合成カンナビノイドは脱法ドラッグ路線。
メリットを追求する上では、あくまで自然に内包されている植物性カンナビノイドのみを利用すべき。
現在の日本のカンナビノイド市場においては、CBDを筆頭とする植物性カンナビノイド市場が様々な製品やブランドを通して台頭し始めている勃興期である。
一方で、植物性カンナビノイドの構造を維持しつつ酢酸化 (アセテート)させたり、人工的に化学修飾することで、精神効果を高めている半合成カンナビノイドが大きな市場になっている事実もある。代表例は、THCO、2-HEC、など。また、HHCやTHCPは2022年に日本では危険ドラッグとして規制対象となった。更に完全なる化合物である合成カンナビノイドも存在している。
筆者の解釈では、人工的に製造されている化合物の目的はTHCに近い或いはより高い中枢神経作用を適法に達成する行為であると考え、規制とのイタチごっこになりかねない「アンダーグランド」向けであると言っていいと考える。これらはいつ規制対象になるかもわからず、突如保有による違法リスクを内在させることになる。本来の目的 (植物性カンナビノイドが有する人体へのメリットの享受) からは逸脱するため、徹底的に避けるべき。CBD、CBN、CBGと言った個別のカンナビノイドの
効果や活用方法については別途記事にまとめる。
補足として、植物性カンナビノイドは「大麻取締法」、合成カンナビノイドは「麻薬向精神薬取締法(麻向法)」という、それぞれ異なった法律が適用される。
#リスク・注意点
上記の整理の中で、利用者が潜在的に晒される可能性のあるリスクは、(1) 関税通過後に何かしらの検査により一定のTHCが検出される可能性 (過去2022年7月までに15件の事例があり、リコールがなされた)、(2) 尿検査において交差反応によるTHCの偽陽性が検知される可能性 (高濃度のCBN接種後等)、(3) 業者が乱立しているたて原料表記とは異なる或いは粗悪な製品が販売されている可能性、が挙げられる。
#参考にしたソース:
弁護士法人 東町法律事務所の村尾先生のコラム
https://higashimachi.jp/column/3089/
栗林総合法律事務所 栗林先生のコラム
https://kslaw.jp/column/detail/5784/
厚生労働省による大麻規制検討小委員会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25666.html
2022/9/29 時点での検討小委員会の見解
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000995180.pdf
厚生労働省の大麻取締法改正についての議論スライド
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000925329.pdf
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