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未確認降下物体

山の中で上のほうから降りてくる白い物体に出会った。
ゆらゆらと白い毛玉のようなものが降りてくる。
大きさはほんの数ミリ。
細い糸にぶら下がりゆらゆら揺れながら降りてくる。
蜘蛛か。。

ゆらゆらしてよく見えないので糸を切って地面に落とす。
何やら動いている。
どう見ても蜘蛛ではない。なんやこれは。

家に帰ってから謎の物体をネットでしらべた。
PictureInsect でヒットした。
毛玉の正体はセミに寄生するガの幼虫やった。
セミヤドリガ。
何回かの脱皮を終わってセミの体から離れて蛹になる寸前の幼虫。
白い毛玉は繭やった。なるほど。

以下はネットから得た情報
     ○     ○     ○
樹皮についた卵が孵化して幼虫になる。
そして何らかのタイミングでセミの体に取りつく。
口からセミの体に糸を吐きその糸にしがみついて取りつく。
(取りつくセミはヒグラシが圧倒的に多いらしい)
幼虫はセミの体液を吸いながら成長、脱皮をくり返す。
終齢(5齢)に達すると繭を作り出す。
何らかのタイミングでセミの体から離れ、吐いた糸にぶら下がりながら降下する。
これが降りてきた白い毛玉の正体。
そして毛玉は降下した先の枝葉や樹皮にくっついて蛹になる。
その後蛹は羽化し成虫になる。
成虫のほとんどは雌だが、雌は交尾せず単為生殖で産卵を行う。
(つまり自分のクローンを作る)
産卵は空中で羽ばたきながら行う。
卵には鱗粉と粘着物質がついていていろいろな場所にくっつく。
次の年のセミの羽化が始まるまで残りの季節を卵のまますごす。
孵化から次の産卵までの日数はセミとほぼ同じ1~2週間である。
     ○     ○     ○
進化の過程でどういう理由、どういう事情で
セミが現れるごく短い期間を狙って寄生するようになったのか。
どんなええことがあるんや。それとも唯の成り行きか。
どういう縁があったんか。
世界は広い。
いろんな生き方がある。