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毎週ショートショートnote【世界一しょぼいタイムスリップ】
『お部屋に来てください ♪ 』
室内フォンが叫んでいる。母親の部屋に行ってみると、
「今日、デイサービスおやすみするから電話しといて」と言う。
半分寝ぼけているのだろう。
「行くのは明日だけど? 今日は日曜日、夕方の5時前だよ」
「え? おかしいわね」
「明日の朝の体調次第で、休むかどうか決めればいいんじゃない?」
ちょうど街の防災無線から、5時の夕焼け小焼け♪が流れてきた。
「あら、ほんとだ。ごめんね」
そう言ったきり、母はまた眠りに落ちた。枕もとの置き時計より体内時計で判断する母は、半日ほど未来へ行ってきたようだ。
「腐葉土を買ってきてくれないか」
三年前に他界した父が夢に現れ、そう言った。あの世でも野菜を作っているらしい。腐葉土は売ってないようだ。困った。どうやって持って行けばいいのだろう。
「ありがとな。良く育ってるぞ」
また父が現れ、そう言った。どうやらオレは腐葉土を届けたらしい。
無事帰って来られて良かった。
(了)
さて、どっちが世界一?w
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