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rimocorimoco
毎週ショートショートnote【濃い古墳】
邪馬台国論争はいまだ決着がつかない。九州説と畿内説が論争の軸だが、その他にも候補地が新説目白押しで、どれも決定打がない。
そもそもの論争の原因は「魏志倭人伝」だ。中国が魏と呼ばれていた頃の歴史書である。魏が卑弥呼という女性を女王として認め、魏の役人がはるばる邪馬台国にやってきてそのお墨付きを伝えたのだ。倭人伝にはその行程が記されているのだが、そのまま旅してみると邪馬台国の所在地は海の上になってしまう。方向が距離が途中の地名が間違ってるのではないかと、我田引水のケンケンガクガクが始まって久しいのである。
当時の古墳から卑弥呼の墓が見つかればそこが邪馬台国の可能性が濃いのではあるが、はたして卑弥呼なる女性が倭人伝通り本当にいたんですか? 私は見た!という人は家政婦どころか誰一人いないのだから、初めから雲をつかむような話なのである。
「本当に行って来たのか?」「え?」
「君の報告書を読むと、海に遊びに行ってたとしか思えんが?」
「あちゃ~バレちゃいましたか」
「こんな適当なもので出張費を請求されても、ビタ一文払えないぞ」
「ですよね・・すいませんでした」
「海には誰と行ったんだ?」「そ、それはご勘弁を」
「妻には秘密のヒミコちゃんってわけだ」
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