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『乙女の密告』赤染晶子著


読んだ本の内容を忘れないようにするために書いた記録です。


『乙女の密告』(赤染晶子著)

密告という文字をみて、すぐに頭に浮かんだのはアンネ・フランクだった。
ユダヤ人であるがために、迫害され、フランク一家も密告されて全員が
強制収容所送りとなり、生還出来たのは、アンネの父親だけだった。
アンネも14歳で亡くなった。

根拠のない噂が膨らんでいき、大きな集団になっていくほど、そこに真実が
あったとしても、見えなくなってしまう。集団の恐ろしさを感じた。

舞台は京都の外国語大学。
そこに通うみか子を含め、ドイツ語のスピーチのゼミを担当しているバッハマン教授など、登場人物も豊かで、重い内容を面白おかしく書いているので、楽しめて読めた。

「私たちは今夜、思い知らされました。わたしたちは隠れて暮らす身なのです。わたしたちは鎖につながれたユダヤ人なのです」
アンネは生前こう言っている。
もし、アンネがユダヤ人ではなく、他者(オランダ人)であったなら、生きていたのかもしれない。

民族のことや、戦争について考えさせられた一冊でした。

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