近畿大学通信教育部図書館司書コース『図書・図書館史』合格レポート(2024年4月入学)
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《注意点》
・レポートの丸写しは不合格となります。あくまで参考程度に留めてください。
・私個人の考えに基づく回答であり、このレポートの内容が最適だとは限りません。
・一部参考文献の引用元を省力してあります。
【設題】
「日本または西洋のどちらかを選び、それぞれの時代(古代、中世、近世、近代以 降)の図書館発展の特徴をコンパクトに要約し、かつ私見(400字程度のまとめ) を述べよ。」
・序論
本論では日本の図書館発展の時代ごとの特徴と、私の私見を述べていく。
・本論
① 古代
日本に文字と書物が伝来したのは4,5世紀頃であるとされる。6世紀に伝わった仏教や儒教の伝来は、日本に漢籍や仏典などの書物を齎し、更にその書物を保管するための経蔵や文庫の発生を促した。
7世紀からの律令国家体制は文書中心主義であったため、紙や木簡などの文字伝達手段が盛んに使用された。こうして生み出された大量の文字情報を作成・収集・保存するために図書寮が設置された。図書寮には文書作成のための用紙を製造する「紙屋院」という工場もあった。
7世紀後半には日本で経典の複製のための写経が始まった。しかし写経は後の平安時代後期には、宋から輸入された版本に取って代わられた。
平安時代中期に差し掛かると国風文化が発達し、かな文字が成立した。この影響により、日本最初の公開図書館である石上宅嗣の芸亭など、貴族による文庫が次々に誕生した。
② 中世
鎌倉時代に入ると、貴族に変わって武家文化が台頭し、武家文庫が次々に開かれた。中でも北条実時が設けた金沢文庫は、政治・縫製・軍事・文学などに関する書物が蔵書の基礎をなし、更に子孫の手により漢籍・国書などが幅広く収集された。しかし文庫の利用は公開的な図書館とは言えず、僧侶など一部の利用者に限定された。
また、中世の文庫としてもう一つ有名なものに、上杉憲実が創立した足利学校の文庫が挙げられる。文庫には武人から多くの図書が寄進されたが、儒学関係や特に易学の典籍が多かった。
印刷技術の面では、中世には宋版本の技術が流入し、その影響を受けた日本の大寺院が次々と寺院版を誕生させた。また16世紀後半には西洋と朝鮮経由の2系統の古活字版が日本に流入したが、そのどちらも江戸時代初期に整版に勢力を奪われ姿を消した。
③ 近世
江戸時代には商業出版が営業として確立した。書肆や本屋、そして図書館の代行機関的な貸本屋などが出現し、広く庶民にも本が流通した。図書館としてはそれぞれ担い手が異なる特色のある文庫が次々に誕生した。幕府の「紅葉山文庫」は、将軍の利用に供することを目的とした高度な専門書を蔵したが、一般人の利用は考慮されなかった。大名文庫の「尊経閣文庫」は、学術的に質の高い資料が集められており、質量ともに日本屈指の古典文庫と言えたが、現在でも閲覧は許可を受けた研究者のみに限定されている。朝廷の文庫である「東山御文庫」の蔵書の中心は近世前期の良質な写本であり、歴代天皇の宸翰など6万点が収蔵されている。幕府の直轄学校の「昌平坂学問所」の文庫は主に旗本や御家人の師弟に利用され、他の学校に対して優位に置かれて中央図書館的な機能を果たしていた。町人の文庫の「浅草文庫」は、江戸時代最初の公開図書館であり、医書を中心に和漢の書を蔵していた。一般人の閲覧も可能であった。
④ 近世以降
福沢諭吉の著書『西洋事情』以降、近代的な図書館を日本でも取り入れるべきだとの声が高まり、明治5年には日本最初の国官立公共図書館である書籍館が誕生した。書籍館の利用条件としては身分的制約は撤廃され、館外貸出はしておらず、閲覧料は有料であった。明治13年には文部省所属となり東京図書館と改され、このとき初めて図書館という名称で呼ばれるようになった。その後、東京図書館は今日にもある国立国会図書館になった。
大正時代においては簡易図書館と呼ばれる零細図書館が次々に開館したが、いつしか消滅していった。
戦時中においては図書館は政府の思想善導機関としての機能が強まり、図書選択の統制、貸出禁止、閲覧禁止など、図書館利用は厳しく制限された。
戦後はGHQによる民主化指導により「図書館法」などの法整備が進められた。また1963年の『中小レポート』では、「これまで公共図書館では市民にサービスをしてこなかった」という反省から、館外奉仕を積極的に推し進めた改革が行われた。
1970年以降はコンピューター技術の普及により、機関リポジトリなどの図書館の新たなサービスが次々に構築されている。
・結論 私の私見
今回は古代から近世以降までの図書館発展の特徴を述べた。日本の図書館の端緒としては古代の寺院の仏教の経蔵や文庫があった。それが時代とともに、貴族文庫や武家文庫や幕府の文庫、そして公共図書館へと移り変わり、個人的で閉鎖的なものから公のものへと徐々にサービスを発展させてった流れが分かった。ただ、本当に市民にサービスするという意味での公共図書館の始まりは『中小レポート』以降からであった。資料の収集や保存は図書館の重要な機能である。しかしそれ以上に利用者を中心にしたサービス提供が図書館の発展のためには必要なのだと分かった。図書館はこれからも利用者に寄り添い、時代に合わせてあり方を変革させていく努力が求められるだろう。
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