見出し画像

🐟️海を休ませる養殖🐟️

こんにちは🐟️


【海を休ませる漁師】カズヒトです👨


今回は、僕が取り組んでいる「海を休ませる養殖」についてお話させて頂きます。


僕は、海とふれあってきて20年以上。


僕が住む瀬戸内海では、どんどんどんどん

魚が減ってきています。

一体どうしてだろう?

魚が減ってきている理由
(あくまでも僕の考えです)

環境の変化

瀬戸内海では現在「綺麗になりすぎている問題」という問題がある。

これは、どういったことかというと。

プランクトンが減少しているんです。

プランクトンは海の食物連鎖の土台となる一番重要な生物。

このプランクトンが減少傾向にあり

海の食物連鎖は崩壊しています。

では、一体どうしてプランクトンが減ってしまったのか?

プランクトンのエサとなる「窒素とリン」が減ってきているから。

窒素とリンは

「山からの水」であったり「生活排水(人間の糞尿)」に多く含まれております。

昔は、ダム等がなかったので山の水は多く海に流れていたり、生活排水も海へ垂れ流しの状態。

今では、ダム等が原因で山の水はあまり海に流れない、生活排水も綺麗にされ海に流れている。

これらが原因でプランクトンは減っているそうです。

では、なぜ様々な海への恩恵を海に流さなくなったのか?


「赤潮」です。


昔の海は、赤潮が大量に発生しておりました。

赤潮とは、簡単にいうとプランクトンの集合体。

プランクトンが多ければ多いほど赤潮が発生します。


この赤潮が原因である仕事が大変なことに!


それは「養殖業」。


赤潮が原因で、生け簀の中で生活している魚たちは呼吸困難になり死んでしまう

大変な事態に陥りました。

赤潮は、海の酸素量等を奪ってしまい

生け簀から逃げられない魚たちは死んでしまいます。


一方で天然魚はどうだろう?


稀にみる豊漁だったそうです。

広い海において赤潮が起きても天然魚は逃げ場がたくさんあるから死なない。

食物連鎖の土台が増えることにより

魚たちも急激に増加しました。


「とりあえず、赤潮発生を食い止めるために赤潮の発生源をどうにかしよう!」


そこで始まったのが上記にある様々な規制でした。


この規制は大変な効果があり

今では赤潮を見たことがない人も現れています。

赤潮の元となるプランクトンを減少させ養殖がしやすい環境が整ってきた矢先、天然魚が減ってしまう大変な事態に陥りました。

自然の摂理に手を出した大きなツケが

いま生きている僕たち漁師を直撃しました。

「頭のいい研究者は、なぜ分からんかったんや。俺たち漁師はどうしたらえんや」

愚痴を吐いてしまう日々。

魚が年々減っていき辞める漁師が増えてきました。

僕は、国に訴えるべきが悩む日々を過ごしてきました。

ですが、魚が減った原因はこれだけではないのでは?

もう少し考えよう。



魚の獲りすぎ


僕は幼い頃じいちゃんがよく言っていたある言葉を思い出しました。


「今は魚がおるきんみんな、毎日漁に行ってもええけど、ええ加減海を休まさんかったらそのうちツケがまわってくるわ。」


「海を休ませる」


じいちゃんは、資源保護のことを幼い僕に「海を休ませる」という言葉でよく話をしてくれました。


でも僕は「こんなけ魚がおったら大丈夫やろ!」そう思いこんでいました。

人間は頭がいいです。

日々、魚を効率よく獲るための漁具を開発しています。

僕の幼い頃と比べると今の漁具はとてつもなく進化しました。

魚を見つけやすくなった「魚群探知機」

魚が獲りやすくなった「漁網」

ありとあらゆるものが進化しています。

魚がいたときの海では、漁具の進化も効果があったことでしょう。

今の海では逆効果になっている。

環境の変化で少なくなった魚を最新の漁具で獲り、もっと少なくしてしまう。

こうした悪循環を今を生きる
僕たち若手漁師を襲っております。

やはり、海の環境を戻してほしいと国に訴えるべきか。

でも、国を相手にすると何年かかるか分からない。


漁師みんなに「魚を獲るのをやめよう」とも言えない。

魚を獲らないということは、仕事を奪い生活困窮に陥ってしまう。

「漁師は海で長年働いてきた人間。陸の仕事なんて不可能に近い。なるべく、海に携わる仕事をしながら漁にいく頻度を減らし海を休ませることが出来たら魚たちは徐々に増えるんやけど。」

一体どうしたらいいんだろうと何年何年も1人で悩みました。


「ん?ちょっとまてよ。養殖がえんちゃん。養殖はしたことないけど養殖の仕事をしている時間は自然と漁に行かなくて済む。漁に行けなかった分のお金は育てた魚を売ることで補填される。海のバランスを取るために漁師にとって養殖業は必要不可欠やろ!」

同年、僕はすぐに計画し実行へと移しました。

「俺がしたいことは、ただの養殖ビジネスじゃなく海のバランスを取るための養殖。養殖業の必要性を、1人でも多くの漁師に知ってもらう必要があるなぁ。有名かつ意外性のある魚を養殖しよう。」


ここで僕はあのお魚に目を付けました。


それは。



サバです。


サバは日本では養殖をあまりされていないお魚。

だけど、知らない人はいないくらい有名。

「そういや以前、養殖サバの刺身を食べたことがあったなぁ。養殖サバはアニサキスがいないから安心だって言ってたなぁ。もう、サバで決まりやな」

早速、ネットでサバ養殖をしている人を検索することに。養殖サバの赤ちゃんを生産している会社さんがヒットし電話をしてみると和歌山に研究所があるとのこと。


早速行ってみました。


そこで、分かったこと。

・養殖には、「天然の稚魚」「人口種苗(研究所で産まれた稚魚)」を育てる2種類ある

・天然の稚魚は安く仕入れて早く出荷できる

・人工種苗は値段が高いうえ天然の稚魚よりサイズが小さいので出荷までにかなりの時間がかかる

・天然の稚魚はアニサキスの危険性がある

・人工種苗はアニサキスの危険性がない

・養殖サバは年間で2割死ぬ

・日本の養殖業は天然の稚魚を獲り
養殖のしているケースが多い(特に青魚)

・エサ代がコストの8割を占める

・養殖は育てるのも大変だけど売るのがもっと大変。安く買われ負債を抱え辞める人が多くいる


知らないことばっかりでした。

とても勉強になった。


「俺がやるのは海を休ませるための養殖。天然の稚魚を養殖するのは海を休ませることに繋がらないか。お金を儲けるのも大事だけど俺はやめておこう。俺がやるのは人口種苗や!」

こう決心し研究所をあとにし島に帰り、生け簀製作に早速とりかかった。

生け簀といっても色々な種類がある。

・鉄の生け簀

・木の生け簀


鉄の生け簀はとてもお金がかかるので

安価な木の生け簀にしました。

木の生け簀は安価だけど自分たちで作らないといけない。

悩んでいると、先輩の漁師さんで木の

生け簀を作ったことがある人がおり製作に携わってもらうことに。

本島沖に浮かぶ生け簀


こうして生け簀が無事出来上がり

いよいよサバの赤ちゃんを迎え入れ

サバを運んでくれるトラック


僕の「海を休ませる養殖」がスタートしました。









こうして、「海を休ませる養殖」は誕生しました。





いいなと思ったら応援しよう!