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もっとファンタジーを! 最終章「Day around daily」
俺は気づくと病院に居た。
目が覚めると隣にみんなが居た。
「おう…お前ら…。どこここ?」
「ここは近所の病院だよ。」
「赤城、丸一日寝てたよ」
「無事でよかったよ!」
俺は黒鳥に最後の攻撃を食らわせた後、気絶した。
どうやらその後病院に運ばれ、丸一日目を覚まさなかったらしい。
「黒鳥は…?」一番気になることだ。
「死んだよ。」
「白鷹さんが拳銃で。」
「もう世間が大変なことになってるよ?」
「そうか…」
その後医者が来て、家族が来て、問題も特になく俺は退院した。
家に帰って、俺は家族にはすべて話した。
初めは「超」というレベルではないくらいに驚いていたが、とにかく無事であることを喜ばれた。
他のみんなも各々の家族に能力のこと、今回の事件などを打ち明けたようだ。概ねどこの家族も反応は同じだった様子だ。
その後はごくごく普通に過ごした。特に能力を使う理由もないし、バレると大変なことになりそうだから。
あの事件のあと、俺たちの闘いの様子は防犯カメラの映像などで拡散された。
だが、画質の粗さともらった仮面でなんとか身バレはしなかったみたいだ。
そして、人類共通の敵、地球を陥れようとした黒鳥と戦った俺たちは少しの間、「ヒーロー」「英雄」など崇められたり、賞賛されたりした。
だけれど、一方で「やっぱり怖い」「普通にそこら辺に居ると思うと怖い」「凶器を常に持ち歩いている」などの意見もあり、予想通りに特別な規制も検討されている。
その後、しばらくしてから世界中で能力を持った子供も生まれるようになり、世界全体で能力者への危険意識が高まった。
理由は多分、俺とウェンティの魔力だ。
ウェンティが言っていた通りで、俺の能力は使うたびに地球に何か影響を及ぼしていたのだ。最後の戦いで連続使用した時、移動の狭間で地球に流れる魔力を見た。確実に影響を与えてしまっている。
そして、ウェンティが死んだときもそうだ。
ウェンティは魔力の漂わない地球に来たことで浸透圧で広がるように魔力ごと地球の大気に霧散した。
ウェンティの体は地球人と同じような細胞とそこに流れる魔力で構成されているため、魔力と、それに乗ったウェンティの体は地球のどこかへ風のように飛んでいったのだ。生物に影響を与えるなんて容易だ。
俺とウェンティは、世間が知らないところで世界を変えてしまったのだ。
そして、世界に能力者が誕生し始めた。
能力者が生まれるのはちょっと先のことだが、俺たちの最後の戦いの時から世間での議論は絶えなかった。
さらに、度々能力者による事件も起きたり、これに起因するいじめも起き続けた。
俺の退院後、俺たちは話し合った結果能力を封印することにした。
あ、だけど一度だけ使ったんだった。
退院してすぐに俺は隣の世界に行った。
夜中、家を抜けて周りに誰も居ないことを確かめて俺が初めて能力を喰らった河川敷へ向かう。
最後の一回、能力を使う。
当然、ウェンティの死を伝えるためだ。
俺は思いっきり右足を踏み込み、王室へ行った。
現王室賢者、ウェンティの父に起きた出来事をすべて話し、謝罪すると、簡単に許してくれたし、なんなら感謝された。
「ウェンティは君に受け継がれた。この大地ではなく、君に。誇らしいよ。」
多分、父はウェンティがこうなること、このような決断をすることをわかっていたのだろう。
最後にもうここには来ないと思うということも伝え、王室のみんなに見送られながらこの世界を去った。
地球に戻ってきた後は本当にただの高校生活を送った。
気づけば高校三年になり、受験生になった。まだ能力は使えるみたいだが、何年も使っていないのでまるであの時のことが夢みたいだ。
今日も俺たち四人は受験勉強に勤しむ。
「なあ、この長文やった?」
「ああ、それ昨日やったところだわー」
「ねえ、赤城、理系だよね?数学のこの問題教えてほしい」
「私も!」
「てか、今日みんなで同じ過去問やって競うんじゃなかったっけ?」
「そうだわ。下二人が今日の飯おごりのやつな!」
「怖いゲームだ。」
「絶対負けないよ!」
俺はあれからやっぱり世界のことをもっと勉強したいと思い、特に環境問題に取り組んでみようと考えて理系大学の生物学科を目指している。
大輝は持ち前の運動能力を活かすために体育教師を志し、体育系の教育学部がある大学を目指している。静心は国語の教師を志して大輝と同じ大学に。入江は看護師を目指して大輝たちと同じ大学の看護学部を目指している。
俺だけ違う大学を目指しているが、俺の決めたことだ。やりたいことのために今はみんなで頑張る。
世界は変わったが、俺たちの日常は変わらない。
変な能力を持っていても、使わなければわからない。
意見を持っていても、動かなければ意味がない。
小さなことから俺はやっていく。
世界はもしかしたら、変えられるかもしれない。
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