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食べ物がでてくる話

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お腹が空いている人も空いていない人も読んでください。
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#ショートエッセイ

「ろうそく本当に宜しいんですか?」

「ろうそく本当に宜しいんですか?」

仕事終わりに慌てて旦那さんの誕生日ケーキを予約しに行った。

時計はすでに20時を回っており、この時間に開いているケーキ屋さんと言えば、ショッピングモール内に常駐しているチェーンのあそこしかない。

チェーンの物でも無いよりは良いか。

「僕ホールケーキをひとりで食べるのが夢なんよ〜」
と話していた彼のニコニコを思い浮かべながら、私はケーキ屋さんへと向かう足を速めた。

ケーキ屋さんに着くと、ショ

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ペラペラな人生 肉厚な牛タン

ペラペラな人生 肉厚な牛タン

牛タンが食いてえ。

思えば去年の春から、ずっと同じことを言っている気がする。
不思議なもので「牛タンが食いてえ」という想いは、決して他の何かで埋まることはなく、ずっと欲しかったバッグを手に入れても、どれだけ好きな人にハグをしてもらっても、牛タンは食いてえ。

退勤時の電車の中、朝目覚めの瞬間、上司に注意されている最中など、生活の中で牛タンが食いたい瞬間というのはいくらでも訪れる。
私はその都度、

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「フグ刺しの次に好き」「は?」

「フグ刺しの次に好き」「は?」

「私のことどれぐらい好き?」

長い人類の歴史で、面倒な女たちが幾度となく恋人に投げかけ、困らせてきた質問の代表格である。

私もその面倒な女の端くれにある。

自分に自信がない私は、若い頃よくこの質問を恋人に投げかけていた。

「これぐらい」

両手で大きさを表すタイプ。

「これまで出逢った人の中で一番」

経験から語るタイプ。

「好きって言ってるねんからそれで良いやん」

聞かれるだけで半

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