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パリ生活ゴ(6)ルイぼっちゃま

「パリ生活ゴ」では、語学テキストにはあまり登場しない
パリの日常生活シーンと、パリジャンがフツーに話している『パリ生活ゴ』を紹介。(2002年〜2016年にフランスニュースダイジェスト誌面、サイトに掲載されたGDR執筆コラムに修正、加筆したものです)

が、ご注意を!!!
こなれた俗語が満載。
なので外国人の私たちが使うのはオススメしません。
失礼になったり、誤解されたりするリスク大です。
なので、聞いた時に理解できてOKというスタンスで眺めて下さいね。

また、スキットはGRDが全て作成したので、文自体はフランス人の口から出てきたネイテイブフレンチではない箇所もあります。
が、全てネイテイブチェックをかけています。
これらの文は、外国人フレンチだが、意味はバッチリわかる、という内容ですのでその点、ご理解下さい。

scène 6.  ルイぼっちゃま

<シーン 6 >
私の10年来の旧友、サラは典型的フランス庶民の出身。その彼女が貴族サマと電撃結婚したのは5年前。以来、社交ダンスにベージュ系マニキュアとたゆまない努力。そんな彼女が先日、4歳になる息子のルイを連れてわが家にやって来た。横分けのルイ。ダッフルコートの裏をそっと見ると、ウール80%にカシミアが20%。4歳なのにカシミヤか。さすが貴族のぼっちゃま、と日本語でつぶやく私。

半時間ほどして、みながリラックスしてきたところで。「どけ~、オレの場所勝手にトルな~」。 えっ? 今のは庶民語? 見るとルイちゃまが、わが息子の胸元をグイグイ押している。息子には悪いが止めに入らず、私は全神経をぼっちゃんの一言一句に集中させる。
「お前、頭おかしいんか? うっとうしい」。おお、完璧な庶民語だ。 突如、彼の人さし指が空を切り玄関のドアを示す。「あっち行け」! この表現は庶民時代のサラが、つきまとう男性をどやしつけるお決まりの 文句だったなあ~、と回顧する私。

「外で変な言葉、覚えてくるのよね~」。弁明がましいサラにわたしゃ一言。「バイリンガルやと思えばええやん」。

<使えるパリ生活ゴ 6>
A : ①Pousse-toi. T'as ②piqué ma place.
     どけよ。僕の場所取っただろ。

B : Qu'est-ce que tu racontes? ③T'es malade ou quoi?
     何言ってるんだ。頭おかしいのかよ。

B : Tu me ④saoules. Laisse-moi tranquille. Allez, ⑤oust !
     うっとうしい奴だな。ほっといてくれよ。 失せろ。

〜解説〜
① pousse-toiは、場所を空ける【délace-toi à côté】。

② piquerは盗む、ぱくる【voler, prendre】。
<同義語>faucherは、鎌で刈る、取り入れるの意があるが、転化して財布の紐を切る→ 盗むの意で使われるようになった。fauchéは形容詞で文無しの、名詞では文無しの人。

③ T'es malade ou quoi?  は 気は確か?【Je ne comprends pas ce que tu dis】。
<参考>Ça va pas la tête(頭おかしいの?)? Tu rigoles ou quoi(冗談でしょ)? T'es fou / folle(頭おかしいよ). T'es dingue(気が狂ってるよ)

④ soûler / saoulerはうんざりさせる【fatiguer】。
Tu me soulesは【Tu me fatigue】。sôuler / saouler の第一義は人を酔わせる、満腹させる。 そこから過剰に満たす→ あきあきさせる、うん ざりさせるの意として使われる。

! Ça suffit !はもう十分→ いい加減にして 【J'en ai assez】。大人がダダをこねる子供をしかりつける時によく使われる。

⑤ oust(ouste)! ほら、そら(行け)【sors】。
人を追い払う時や、せかす時に言う間投詞。擬声語housse、ousse、houtsから現在の綴りになった。

❤️では scène 7 でお会いしましょ❤️


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