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『この、あざやかな闇』補稿(1)

(2020年、WBURのトークショウ出演時の著者。動画はWBURチャンネルのYouTubeチャンネルより)

2月17日に新しい訳書が出ます。原題は
This Brilliant Darkness: A Book of Strangers 

著者のジェフ・シャーレットはダートマス大学教授としてクリエイティブ・ライティングを教えるかたわら、『GQ』、『ハーパーズバザー』、『ローリングストーン』などの雑誌に寄稿するジャーナリスト。

著者が本書を書くきっかけとなったのが、本人と実父が立て続けに見舞われた心臓発作です。父を見舞うため山ひとつ越えたところにある病院を往復する深夜、Instagramを眺めると、自分と同じように生活の中心が深夜にある人たちがいました。#nightshift というハッシュタグでつながった彼らに取材し、車で通りがかった道沿いに並ぶ店を訪ね、著者はiPhoneでスナップショットを撮ります。

著者の視線はさらに遠くへ。ニューヨーク州スケネクタディからカリフォルニアへ。新聞記者としてのキャリアをスタートしたサンディエゴで、サーフィンのビッグウェイブではなく、ドラッグの波(ウェイブ)に乗っていたジムから記事のチェックを受けた日の追想。バッドカンパニーの〈シューティング・スター〉を聴くたびに思い出す、あの日。

ところ変わってロサンゼルスはスキッド・ロウ。〈スパイス・ペット〉と呼ばれる、ドラッグディーラーの中でも最下層の白人青年たちに取材し、著者はここでもスマホのカメラを向けます。詩篇の一節を背中に彫ったジャレドのエピソードから、2015年3月1日、チャーリー・“アフリカ”・クネインが射殺された日へ。そう、ロサンゼルス市警の警官たちによる過剰警備で亡くなった、カメルーン出身の男性の足取りをたどり、著者はスキッド・ロウの人たちから話を聞きます。

つづく

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