コショウ病対策で水槽を完全換水(フルリセット)するための方法
<追記>たくさんの幼魚や稚魚が入った水槽で治療&リセットするならこれで良いのですが、そうでない場合は個別に小容器で治療する方法に切り替えました。よろしければこちらも参考にしてください。
この記事では「よこはま金魚」さんのブログ記事「ショーベタと病気【コショウ病】」(クリックでリンク先に飛びます)中に書かれている全換水(完全換水、フルリセット)を安全におこなうための具体的方法について、うちではこうやっていますよ、というお話をします。
なぜ換水がコショウ病に有効なのかについては、上記記事を見に行っていただければと思います。
この方法では、魚体を残して水槽内の他のすべてを消毒・交換してしまいます。個人的経験から言えばそんなに無茶な方法ではないと思いますが、例によって自己責任のもとに行ってください。魚に体力が残っているうちにやることを強くオススメします。
完全換水(フルリセット)の方法について
①まず半量〜2/3程度普通に換水
他のすべての病気でもそうですが、魚が病気に罹ったときは水質が悪くなっていることが多いので投薬前に換水するようにしています。
②投薬
適切な薬を投薬します。
何の病気にどの薬が効くという話はケースバイケースであり、発信内容に責任を持つという観点からはなるべく書きたくはないのですが……
最近のコショウ病の病原体は従来使われていた薬に抵抗性を示すものが多いようで、昔は塩とメチレンブルーであっさり退治できていたのが薬が効きづらくなってきたように感じます。Twitterの知り合いの中にも同じように感じている方がいるようです。
一応うちでは、今のところ「グリーンFゴールド顆粒(日本動物製薬)」を規定量使うのが一番効いています。効きが悪いようならマラカイトグリーン系の薬(ヒコサンZなど)を併用します(併用は推奨されていないので自己責任で)。0.5%の食塩と併用することが多いです。
なお、どの病気にどんな魚病薬が何が効くかについては、詳しく書かれたサイトがありますので魚病薬+病名などで検索して見つけてください。僕がよく参考にさせていただくのはOrdinary-Aquariumというサイトの「【魚病薬まとめ】私が使っているおすすめのお薬をご紹介」という記事です。
③数日放置
すでに魚の体表に現れた"コショウ"(病原のウィーディニウムは渦鞭毛藻綱なので正確には藻体)には薬が効かないらしく、投薬してすぐには消えてくれませんが、2-3日くらいすると薬の作用で再感染が止まるので減ってきます。
魚体から"コショウ"が見えなくなったら次のステップに進みます。"コショウ"はとても小さいので老眼気味の人は気合を入れてチェックしてください♪
④完全換水―病魚のとりわけ
バケツなどの容器に水槽の水を移し、そこに消毒する水槽内の全ての魚を避難させておきます。魚の数やサイズにより必要に応じてエアレーションを施しておきます。このとき、ベタ飼いの皆さんは跳び出しに注意しましょう。くれぐれも、跳び出しに注意しましょう。大事なことなので2度言いました。
⑤完全換水―水槽の消毒
水槽は水を全部抜き、水草はよく洗うか、できれば廃棄します。
空になった水槽にヒーターやろ過器など水槽で使っているものを全部つっこんでハイターなど次亜塩素酸系の消毒液(以下ハイターと表記)を入れて水で薄めます。水は水槽内の器具などがひたひたに浸かるくらい。ハイターは適当ですが体積比5%くらいでしょうか。水槽を傾けながら底面、側面をよくすすぎます。皮膚のタンパク質も溶かすのでくれぐれもゴム手袋などをして作業しましょう。
底砂を敷いている場合は別に取り分けて同様にハイターで消毒します。この場合、砂利の中までしっかりハイターが浸透するように、洗うときはハイターが完全に抜けるように工夫しましょう。外部式フィルター、上部式フィルターなどもすべて同様に処理した方が無難です。
消毒が終わったら水槽や器具を水で何度もよくすすぎ、最後に水を入れてから塩素中和剤(カルキ抜き)を濃いめに入れて残った塩素を中和します。
消毒が終わったら水槽をもとの位置に戻します。空の水槽が用意できる場合は、上記の行程を全部すっとばして空の水槽に入れ替え、あとでゆっくり病魚が出た水槽を洗えばよいので楽です。
⑥完全換水―水合わせ
この方法では、新しい水槽にはもとの水槽の水を一滴も入れないようにします。
水槽より高い位置に水容器を用意して換水用の水で満たしますます(ポリタンクや使っていない水槽)。いつも水換えでカルキ抜きを入れている場合や水質調整をしている場合は、いつもの水換え用の水と同様にします。ポイントは水槽の全量より5Lくらい多めの水を用意することです。水温は合わせておきましょう。
まず、新しい水槽にその換水用の水を満たします。
次に魚を隔離したバケツの水を1L以下くらいまで減らしておき、エアチューブなどを使って換水用の水をサイフォンの原理で落としていきます。強めの洗濯バサミなどでチューブをはさみ込んで流量をおさえ、10〜30分くらいかけて落とします。要は水合わせです。
⑦完全換水―魚を戻す
魚を網などで掬って、軽く水を切って、できるだけ水を持ち込まないように水槽に戻します。水槽の水と同じ水質で水合わせが済んでいるわけなので、魚だけドボンと落として大丈夫です。
以上で完了です。
④〜⑦の流れを図で振り返ってみるとこんな感じです(図にするほどのものではなかったと作ってから気づいた)
以上のような方法を使うと、比較的安全に水槽の生体以外をすべて取り替えることが可能です。以前はここまでする必要はなかった(水槽内に残った胞子なども薬で死んでくれた)ようなイメージがあったのですが、最近見かけるコショウ病はこれをやらないと高確率で再発してしまうようです。
フィルターの消毒について
フィルターをハイターにつけてしまうと、当然ながらろ過バクテリアはろ材表面のバイオフィルムもろとも、きれいさっぱり全滅します。ろ過バクテリアがいないまま汚れが蓄積すれば、当然魚にも悪影響が出ます。
そのリスクを冒してまでフィルターを消毒すべきでしょうか?
コショウが再発する懸念をかかえるくらいなら、僕なら消毒してしまいます。ここからはかなり個人的な考えになりますが、ろ過バクテリアはそんな大事に扱うべきものではなく、「魚を普通に飼ってたら普通に湧くもの」「十分定着するまでは餌やり量を落として換水頻度を上げればヨシ」くらいに思っています。
ただくれぐれも、フィルターにハイターの成分が残らないようにしましょう。中途半端だと溶け残ったバイオフィルムが塩素くさくなるので、ガッツリ漬けてバイオフィルムを溶かしきってしまい、その後鬼のようにすすいで中和剤で仕上げるのがよいと思います。
空き水槽準備のすゝめ
たくさん水槽を並べて買っている場合、並べている水槽と同規格の水槽を1つ2つ空き水槽としてストックしておくと、⑤の水槽の消毒の過程がすっとばせるので魚への負担も少なくて済みます。
ベアタンクのすゝめ
底砂にはさまざまなメリットがありますし、ベタのペアならケンカ勃発時のために何らかのシェルターは入れておきたいもの。個人的にはシェルターは陶器などでできたものより流木や沈水性の水草が好みです。
ただ、フルリセットをかけるにはやっぱりベアタンクが圧倒的に便利なのは事実。
コショウ病は魚を新たに導入してから数ヶ月くらいの期間に多く、他の水槽の水を持ち込まないようにして長期安定的に維持していると出にくくなるので、流木や底砂を入れるのはコショウ病が出なくなったタイミングでもいいのかなと思ってます。
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