往復note(1) : 生きてると感じる瞬間
Tさん、こんにちは。
これから往復noteということで、お互いに直近に考えたことや感じたことをnoteで交換したいと思います。お話したルールについてメモしておきます。
ルール1)相手のnoteを受け取ってから1週間以内にnoteで返信する
ルール2)文字数の制限はない
では、私の方から、最近観た映画についての話題からしたいと思います。ダンサーであり、映画作家である吉開菜央の『梨君たまこと牙のゆくえ』です。作品は、梨を育てている女性と梨を愛で、食べる女性の2人の描写がそれぞれに展開しながら、最後に滝に打たれながら1つの梨を食うという場面に繋がっていきます。
梨を育てている女性は、梨の状態をチェックしている時、1つの梨が動物に食われ、そこには謎の牙が残されているのを見つけます。廻りの人に聞いてみるも何の牙かわからず、森の中を走り回った挙句、叫びます。ワォーーーーン。一方で梨を食べる方の女性は、自宅にいろんな地域の梨を取り寄せ、それを飾っていますが、1つだけどこが生産地かわからない梨に、「梨君たまこ」と名付け、リボンをつけて飾ります。梨を食べる女性が生産地を訪ねて、育てている女性に出会います。そして1つの梨に2人がかぶりつきます。それが滝に打たれる映像になり、その食べるという行為が素晴らしく官能的に見えます。
本来、食べるという行為は、官能的であり、かつては未知のものを食する場合には命がけでもあった行為です。そういう原初的な官能性を吉開菜央はうまく映像で伝えていると思いました。吉開菜央の映画にはほとんどセリフがないのですが、彼女自身がダンサーでもあることから、身体を通して伝えるということを重視しているからかもしれません。
それでも私が受け取った感覚は、吉開菜央が伝えようとしたこととおそらく違うし、それは私以外の人にとっても同じであろうと思います。何かを伝えるという行為とそれを受け取った時に感じるという行為の間にあるジャンプが、反応から何となくお互いわかるという時に、生きていて良かったと感じるようにも思います。それが吉開菜央のこの作品のラストを観て思ったことでした。
Tさんにとって、生きていることを実感する瞬間は最近ありましたか?