SF機体列伝No.6「進化を体現する孤高の巨鳥」RX-10 アルバトロス
ライター:九条 一馬(ゲームデザイナー)
このコーナーでは、SFサイドビューシューティングゲーム『R-TYPE FINAL 2』『R-TYPE FINAL3 EVOLVED』に登場する主人公機体である次元戦闘機を一機ずつ紹介してまいります。
過去分は↓こちらでご覧いただけます。
また、このゲームの舞台となる世界観につきましては、R機体列伝No.1をご覧いただけると幸いです。
『進化を体現する孤高の巨鳥』
特殊フォーステスト機 RX-10 アルバトロス
今回は、触手の付いた特徴的なフォースを装備した「RX-10アルバトロス」について、R-TYPEの世界での開発と実戦投入された経緯について書いていきます。
旅客機メーカーがフォース試験機開発を担うことに
RX-10の開発に当たったのは、R-9Aシリーズを開発・製造していたウィスラー・スペース社のグループでも、R戦闘機のカスタムチューンやメンテンナスを主に行っていたウォーレリック社でもなく、主に惑星間航行の旅客艦やプライベート機を開発・製造していたマクガイヤー社であった。
R-9Aから派生した次元戦闘機は、技術的には成熟期に入っており、武装は強力になり、波動砲のバリエーションが増えてはいたが、用途が細分化されたものが多く存在し、軍は機体開発に閉塞感を感じていた。
そこで、直接は兵器開発をしておらずワープエンジンなどを軍事メーカーに提供しているだけのマクガイヤー社を入札に参加させ、その提案を容れて特殊フォースの開発事業を任せることにした。
軍は発注時点ではこの機体を兵器としてみていなかったとも言える。実際この機体は、プロジェクト開始時点では試験機という位置づけであったため、機体コードもRX-10とテスト機用のものがつけられていた。
コントロールロッドを進化させるという発想
RX-10の最大の特徴は、大きな触手を有したフォースにあろう。 それまでのフォースは、バイドを収束化し、フォースの核を形成するためにコントロールロッドという制御棒を打ち込んでいた。これは、あくまでフォースの核を形成する“バイドのかけら”を押さえつけるためであった。
しかし、RX-10に装備されたテンタクル・フォースでは、このコントロールロッドにレーザー制御用の大きな腕を取り付けてあり、フォースの核からシナプスツリーを介して、コントロールロッドに至ったエネルギーをロッドに取り付けた腕から放出する仕組みになっていた。フォースからのエネルギーを帯びた腕自体がバイドに対する耐性・攻撃を持つことになった。
このフォースに取り付けられた腕(触手)は、バイドからの攻撃から機体を守り、かつ、レーザー兵器の照射方向や太さの制御を積極的に行う武器として、攻防一体の兵器として完成度の高いものとなっている。
フォースに触手をつけるという発想は、それまでの次元戦闘機にはないものであった。
横幅が広く、重心が高い独特の機体設計
RX-10は、フォースから上下に伸びる触手とバランスを取るために、それまでのR戦闘機と違い、水平方向に広くなるように設計されていた。R戦闘機にはめずらしく”主翼”をもっていたのだ。
また、主翼は機体のやや上側についており、重心の高さがそれまでのR戦闘機とも異なっていた。これは、実戦に投入されてることを想定せず、移動方向の急激な変更などの機動性を考慮せずに、あくまで特殊なフォースを装着した状態で機体が安定した飛行ができることに重点を置いた結果と言われている。
ワープ航法のエンジンを使った波動砲
波動砲にも新しい概念が使われており、異層次元航行用のエンジンに使われていたものを武器に転用したものである。これは、機体前方に空間の歪を作り、衝撃波を短距離ワープさせ敵にぶつけるというものである。
発射操作をした瞬間に進路上にいる敵に到達し、巨大なエネルギー球を発生させる。
マクガイヤー社は、特殊フォースの開発入札に参加した時点で、この波動砲のアイデアを持っていたと言われており、軍事産業への参入に向けて入念に準備を進めていたことがうかがえる。
しかし、軍がこの波動砲の価値を認識したのは、RX-10の納品からかなり後のことであった。
製造企業の反対を押し切っての実戦投入
RX-10およびテンタクル・フォースは当初の目標をクリアし、軍に無事納品された。軍は、RX-10ベースのR戦闘機の量産化について検討をしていたが、そんな中、地球にバイドが侵入したという情報が軍に入った。
バイドからの攻勢を受けて、木星軌道よりも外側に大部分の機体とパイロットを送り出していた軍には、バイドの調査・せん滅に投入する機体も、パイロットも不足していた。
都市の警備任務にあたっていたR-9A2デルタを単機で出撃させたが、戦力の不足を感じていた軍は、量産化を検討していたR-13Aに最終テストを兼ねて出撃させ、機能試験機であるRX-10もこのミッションに参加させることにした。
RX-10の開発メーカーであるマクガイヤー社は、軍から開発機体の出撃の連絡と発進前の整備を指示されたが、当初は強く反対していた。理由は、あくまでテスト用の機体として納品したものであり、しかも、フォース以外の機能や装備については実戦投入に必要なテスト時間が不足していたからであった。
しかしながら、軍が方針を変えなかったため、マクガイヤー社は時間の限り整備をした状態で、対バイド用の特殊塗装も施さないまま出撃させることとなった。パイロットについても訓練時間が大幅に不足している訓練生が当てられた。
こうして訓練中の新米パイロットを試験機に乗せる無謀な作戦が決行された。
思わぬ実戦投入で実用性を証明
RX-10、作戦中はRXやアルバトロスと呼ばれていたこの機体の不本意な初陣は想定外の戦果を上げた。
攻防一体のテンタクル・フォースは、機体の機動力に頼ることなく、安定してバイドのせん滅を行った。パイロットの経験の浅さも十分カバーし、ミッションの目的となるバイドを破壊して無事に帰還したのだ。
この機体に初めて搭載された衝撃波動砲も威力を発揮し、軍はフォースだけでなく、この機体全体がもつポテンシャルについてさらにテストを行うことを決定した。
後継機による火星でのテストが始まるが…
こうしてR-9Fから始まった特殊フォースのテストは、地球でのRX-10を使った工程を経て、火星でのTX-Tへと引き継がれることとなった。そして、TX-Tのテスト中に火星での反乱が起き、TX-Tは数奇な運命をたどることになるのだが、それはまた別の機会に。
特殊フォーステスト機RX-10アルバトロス Data
・フォース:テンタクル・フォース
- 赤:スティング・RAY
- 青:ハウンド・RAY
- 黄:スネイル・RAY
・波動砲:衝撃波動砲
・搭載可能ミサイル:誘爆ミサイル / 爆雷
・装備可能ビット:ラウンドビット / シャドウビット
・スペシャルウェポン:ネガティブコリドー
攻略情報
何と言ってもテンタクル・フォースは、上下に伸びる触手で敵弾を止めたり、接触する敵にダメージを与えられる点が、この機体を使用する大きなメリットです。
また、フォースを切り離し中に敵をサーチして攻撃してくれる機能も、入り組んだ地形の多いステージでは重宝します。R-TYPEのプレイに慣れていない方にもぜひ使っていただきたい機体です。
ただし、黄色レーザー(スネイル・RAY)はクセが強いので慣れないうちは、赤レーザーや青レーザーの使用をお勧めします。
R機体列伝について
この機体列伝は、ゲームソフト『R-TYPE FINAL 2』『R-TYPE FINAL 3 EVOLVED』のマニュアル「機体列伝」に掲載されている各機体に関する解説に一部加筆・修正を施したものです。
今後も、様々な登場機体をご紹介していきます。
R-TYPE FINAL 2 情報(PS4, NS, XBoxOne/X, PC用)
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