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SF機体列伝No.1 「放たれた矢」 R-9A アロー・ヘッド| R-TYPE FINAL 2

ライター:九条 一馬(ゲームデザイナー)

このコーナーでは、SFサイドビューシューティングゲーム『R-TYPEアール・タイプ FINALファイナル 2』、『R-TYPEアール・タイプ FINALファイナル 3 EVOLVEDエボルブド』に登場する主人公機体である次元戦闘機を順次紹介してまいります。


R-TYPEアール・タイプ』で描かれる時代

R-TYPEは、今から遠い未来の話。人類が地球のみならず太陽系全体を生活圏と捉えるようになった時代の話。

宇宙の彼方から未知の生命体が太陽系に侵入するようになった。

人々が期待していた友好的な宇宙人との初遭遇ファースト コンタクトは、意思疎通の概念も持たない狂暴な破壊衝動のみで構成される生物によって踏みにじられた。

銀河系の特定の星域から太陽系に大量流入してきた狂暴生命体の群れ

この未知の生命体は、短時間で進化、分化し、機械とも融合し、あらゆる媒体の中で伝搬する能力を持っていた。貪欲なまでの破壊本能で周囲にあるものを破壊し尽くす。

ある時は異形の生命体の形を採り、ある時は高度な文明によって造られた機械の形を取る。

狂暴生命体は、あらゆる環境に適用し、進化していく

形をなさず思念のようなものとして通信や人の思考に入り込むこともある。そして周囲にあるものをむさぼる。

この形容しがたい恐怖を体現する集合体を人々は『BYDO (バイド)悪しきモノ』と呼んだ。

巨大なバイドとの遭遇シーン

当時太陽系をいくつかに分割して戦争をしていた人類は、その持てる兵器を使ってバイドに立ち向かおうとしたが、戦果を上げることはできなかった。

未曾有の危機に直面した人類は、統一政府を設立し、技術の粋を結集、試行錯誤して、ついにバイドに一矢報いる手段を手に入れた。

それが次元戦闘機”アロー・ヘッド”であった。

『放たれた矢』
次元戦闘機R-9A アロー・ヘッド

R-9A アロー・ヘッドは、フォースと波動砲を搭載し、初めて実戦投入された対バイド戦専用戦闘機。

この機体は、人類の希望を体現した戦闘機であり、また、長きにわたるバイドとの戦いにおける対バイド戦の礎を作った機体でもある。

輸送機から発進するR-9A

無敵のパートナー”フォース”

バイドに対して、それまで人類が保有していた兵器は、大型戦艦の艦首砲として使われていた陽電子砲などを除きほとんど無力であった。

バイドによる攻撃には、どのような頑丈な装甲も浸食される。また、人類が持つミサイル兵器などもバイドに対しての効果は限定的だった。

そんな中、太陽系外縁部を哨戒していた宇宙巡航艦が活動が小康状態のバイドの破片の成功する。バイドの破片を培養し、球体状に収束することに成功する。

このバイドの破片から作られた球体は、一定の刺激を与えると破壊性のある光線を放つ性質があることがわかった。刺激の与え方によって発生する光線の指向性を制御することができた。

オレンジ色の球形に収束しているバイド由来の兵器”フォース”

また、この球体は、バイド生命体と接触しても損傷することなく球形を保つ性質があった。球体に制御棒コントロールロッドを埋め込むことで、戦闘機からの制御ができるようにした。

こうしてできあがったのが、『FORCE(フォース)』と呼ばれる対バイド兵器である。

この時確立された、フォースを刺激することで3種類のレーザーを発射するシステムは、その後開発されるすべての機体に継承されている。

フォースを介してレーザーを発射している場面
レーザーは地形に当たると反射する「反射レーザー」

戦艦並みの火力を搭載『波動砲はどうほう

フォースの運用とともにR-9Aを対バイド兵器たらしめているもう一つの要素が波動砲を装備していることであろう。

フォースの実用化の検証と並行して進められていたのが、戦闘機に戦艦の艦首砲並みの火力を持たせるための実験であった。

強力な光学兵器で攻撃してくるバイド兵器に対して、波動砲で反撃するR-9A

宇宙戦艦の艦首砲がもつ圧倒的は破壊力は、バイドに対しても有効であることがわかっていた。しかしながら、艦船の機動性では殺到するバイドの群れに対応できず、バイド戦においての宇宙艦船の活躍は限定的であった。

そこで、宇宙戦艦に搭載されている艦首砲相当の火力を20メートル足らずの戦闘機に搭載できないか?という議論が統一軍内で持ち持ち合った。

機首前方で力場を発生させ、その中にエネルギーを蓄積し、一気に力場を解いてベクトルを持たせたエネルギーを解放するのが次元戦闘機に搭載される波動砲の概念である。

このタイプの波動砲に物理的な射出口がないのはこのためである。

R-9Aとその後継機による波動砲の斉射シーン

この波動砲という仕組みも後継機に受け継がれていくことになるが、波動砲には戦場や目標により、数多くのバリエーションが存在する。

中には、R-9Aのものとは全く別の仕組みのものもある。原理的なものではなく、エネルギーを一定時間充填し、一気に解放して敵に大きなダメージを与える兵器の総称して”波動砲”という表現が使われるようになっていった。

フォースと波動砲を搭載したR-9A アロー・ヘッドの投入により、人類はバイドとの戦いでどうにか望みをつなぐことができた。

しかしながら、バイドの行動は戦術コンピューターでも予測することができず、強力な火力と鉄壁の防御システムもパイロットの操縦技術や戦闘哲学、そして強い意志に依存することとなった。

R-9Aの操縦席の様子。アビオニクスと母艦の戦術コンピューター、フォースや波動砲を制御するシステムが、サイバーコネクターを介してパイロットの神経系に直接接続されている。

こうして第1次対バイドミッションは、多くのパイロットの戦意をくじき、命を犠牲にしながらも、R-9Aと半ば伝説と化したパイロットの不屈の闘志によって、人類の勝利に終わった。

しかし、バイドは復活した。より強力になって。

人類は、R-9Aの後継機の開発を急いだ。R-9Aの最大の功績は、人類がバイドを克服できる可能性があることを示したこと、そして、その後の多くの後継機を生み出したことにある。

すべての対バイド戦闘機の祖

この機体をベースに、様々な局面でのバイド戦に特化した機体が作られることとなる。

R-9と付く機体だけでも、強力なミサイルを搭載可能なR-9Bシリーズ、長距離射程タイプのR-9Dシリーズ、偵察・電子戦機R-9Eシリーズおよびそれらの派生シリーズがあり、火炎兵器専用のR-9Skシリーズや特殊な波動砲の試験投入用R-9Wシリーズなどがある。

フォースと波動砲というR-9Aが確立したフレームは、その後の対バイド戦闘機にも継承されている

さらには、R-9シリーズの実戦データを元にR-11、R-13、人型兵器への可変タイプの機体が作られ、バイド素子を機体形成にも用いたBシリーズへと発展していくことになった。

そして、究極の次元戦闘機と呼ばれる R-99 ラスト・ダンサー へと『Rの系譜』はつながっていく。

究極互換機R-99 ラスト・ダンサー
様々な戦闘機用に開発された波動砲やフォースを装備できる機体

R-9A アロー・ヘッドは、それ自体の使いやすさなどから後継機が開発された後も長く製造され、もっとも多く製造された機体である。

もっとも多くのパイロットともに戦場に送り出され、もっとも多くのバイドをほうむり、そしてもっとも多くの機体が搭乗パイロットと共に戦場で散っていった。

R-9Aのパイロット達(対バイド戦博物館の資料より)

R-9A アロー・ヘッド Data
・フォース:スタンダードフォース
 - 赤:対空レーザー
 - 青:反射レーザー
 - 黄:対地レーザー
・波動砲:スタンダード波動砲
・搭載可能ミサイル:追尾ミサイル / 爆雷
・装備可能ビット:ラウンドビット / シャドウビット
・スペシャルウェポン:ニュークリアカタストロフィー

機体列伝について

この機体列伝は、ゲームソフト『R-TYPE FINAL 2』『R-TYPE FINAL 3 EVOLVED』のマニュアル「機体列伝」に掲載されている各機体に関する解説に一部加筆・修正を施したものです。
今後も、様々な登場機体をご紹介していきます。他の機体のエピソードについては↓こちらでご覧ください。

R-TYPE FINAL 2 情報(PS4, NS, XBoxOne/X, PC用)

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