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牡蠣とソーテルヌを合わせる話

ことのはじまり

少し前に読んだ本の中に、『19世紀、牡蠣とソーテルヌは抜群に相性が良いとされていた。』という記述があり衝撃を受けた。

※ソーテルヌとは、フランスのソーテルヌ・バルザック地方で造られる甘口ワインのこと。甘口ワイン好きの自分が語ると原稿用紙何枚分にもなるので詳細は割愛いたします。

「生牡蠣にシャブリ」については某有名マンガでも色々と論じられており、

某有名グルメマンガでは高級シャブリに生牡蠣を合わせて、生臭みが広がる、ワインと生牡蠣は合わないんだよ、と酷評。

某有名ワインマンガでは、グランクリュクラスの、樽の味がきいた厚みのあるものは合わないが、お手頃クラスの軽やかでミネラリーなものであれば美味しく楽しめる、と書いていた。
(どっちもややうろ覚え)

しかし、牡蠣にソーテルヌとは。
甘口ワインマニアとしては試さずにはいられない。


雑な挑戦はダメです

思い立ったのは9月の某日。

まだ時期が早く、パックの蒸し牡蠣しか出回っていなかったが、とりあえずそれを購入。

ソーテルヌも、比較的若いものがおすすめと書かれていたが、家のストックには20年もののソーテルヌしかなかったのでそれを使用。

(今読み返してみると、本に書いてあることに全然従ってねえな自分…と改めて思います)

ラボー・プロミが悪いんじゃない、たまたま私の味覚に合わなかっただけだ。

胸躍らせて試食したものの、結果としては(当然ながら)あえなく撃沈。

牡蠣を口の中に入れ、その後にソーテルヌを流す。
磯の香りが口いっぱいに広がる

味わいが口の中に広がるのは間違いないが、これが良い物なのか、不快なものなのかはかなり線引きが難しかった。
ただ、牡蠣が苦手な人だったらこれはたぶんダメだろうな…とは思った。

そしてそもそも、相性以前に抜栓したソーテルヌ自体が少しピークを過ぎていた。熟成香というか、ローストされた樽の感じが強く出ていて、舌もピリピリする。

牡蠣は自分でおいしくいただいて、ソーテルヌはそっと冷蔵庫にしまい、家族に後を託した。


再挑戦

という失敗を経て、満を持して10月。

生食用牡蠣をスーパーで見つけ、こちらで再チャレンジ。
比較的若い5年もののソーテルヌもゲットし、リベンジマッチといこうではないか。

前回の反省も踏まえて、事前にマリアージュについて調べると、

フレッシュでミネラル感のあるソーテルヌがおすすめ。
クリーミーなタイプの生牡蠣と合う。
・バターやホワイトソースなどで調理してソーテルヌのバニラっぽい、厚みのあるテクスチャーと合わせる。

とあった。

残念ながらスーパーで買ったものは比較的細身でクリーミーではなさそう。まあ期待せず食べてみて…ダメならバターソテーにすれば良かろう。

牡蠣は念入りに洗いました(台所中に広がる磯の香り)。牡蠣はたとえ生食用でもあたるときはあたるらしい。あなおそろし。

まず、ソーテルヌの前に、牡蠣にはレモンという定番の組み合わせがありますので、自宅にあった酸味のあるリースリングとあわせてみます。

適当に買った、やや辛口のリースリング(ドイツ)。酸味もそこそこ。

むーん。
まずくはない。

しかし、国産だからなのか牡蠣の味がかなりやさしく、リースリングに全てが持っていかれる感じ。合わなくはない。が、相乗効果は感じられなかった。
まあこんなものなのだろうか。

さてさて、ここで本日の真打登場。

シャトー・カントグリルさん2015です。
テンションブチ上がっているところ。

さてまずはソーテルヌ様から味見してみましょうね。

あーーーーーー!
最高の香りっすね…ザ・ソーテルヌ。
ソーテルヌ…ちょっと青いニュアンスがあるけどそこが素敵…
美味しそう…

バニラ、バターのような厚みがありながらもフレッシュ。
力強さもある。
これマジでコスパいいな(※ハーフボトルで2,500円前後)。
メモの原文ママ

生牡蠣との相性は、

あーーーーーーーー
あーーーーーーー

うん。
面白い。

生臭さは一切広がらない。
面白い。(2回目)

なんだか混沌としている。
メモの原文ママ

正直、初めての感覚で形容が難しい。

見た目からして明らかに合いそうにもない、
磯の香りプンプンの牡蠣に、甘くてコクのあるワイン。
でも、磯の嫌な感じ(生臭み)を、ソーテルヌの甘み、厚みが包み込む。
そしてソーテルヌの持つフレッシュさが磯の感じをさっぱり流してくれるというか。

これで満足だったんですが、せっかくなのでバターソテーも試してみました。

加熱すると小さくなって泣ける。
…うん。
うまいよ。
フツーにうまい。
バターが全てをつないでくれる。
全く生臭くない。
メモの原文ママ

さっきのリースリングでも試してみたが、ほんのりと生臭みが。
悪くはないが、ベストではないか。

ちなみに、その時家にあった日本酒と合わせてもみたが、特に可もなく不可もなく、という感じ。

ただ、その日本酒は、そのまま飲んでおいしい、ほんのり甘みがあり、程よく厚みのあるひやおろし(秋酒)だったので、辛口スッキリ系の日本酒だったらバッチリ合っていたんだろうなあ…と思いました。

と、他のお酒と比較してみると、
確かに「ソーテルヌがいいかも。」という味だ。

そして今さら気づいたが、ソーテルヌをそのまま飲むより、牡蠣と飲んだ方が美味しいぞ。

これはすごい。

というのも、広く知られているマリアージュとして、ソーテルヌには

・ブルーチーズ!
・フォアグラのテリーヌ!
・ホワイトチョコ!
・アップルパイ!

というのがある。

しかし、今までどれを試しても、
これソーテルヌだけの方が美味しいな…」という感想だった。

特にデザート系と合わせると、ソーテルヌとデザートの甘さが打ち消し合って、それぞれ別にしたほうが楽しめるな…と思うことが多かったのだ。

それがまさかの牡蠣とは。

いや、上記の代表的なマリアージュも、もしかしたら、自分が合う組み合わせを見つけられていないだけなのかも。

冒頭で書いた蒸し牡蠣と熟成ソーテルヌのように、その時選んだデザートとソーテルヌの相性が、「たまたま」よくなかっただけかもしれない。

なるほどこれはもうちょっと深く掘り下げできそうなテーマだなーと思いました。

準備が結構大変でしたが、やってみてよかったです。
ソーテルヌ好きの人はぜひ!お試し!ください!


編集後記

記事にするまで超絶時間がかかってしまった。
まだ生牡蠣が売られている季節に公開できてよかったです。

おしまい。

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ゆーり
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